菜食主義の歴史は古く、紀元前700年頃にはインダス文明の文献に載っているそうです。
その動機は動物を殺して食べることへの後ろめたさや健康上の理由などいろいろなのでしょうけど2000年以上の間、一定数の人々がその戒律を守って生涯を全うしたようですので本来的には人間は動物性タンパク質を摂らなくても生きていけるのかもしれません。
けど、生きるために食べることと美味しいものを食べたいという欲求は全く別物だと思うのです。
動物性のものを食べることを戒めた人たちだって食べれば美味しいと感じるはず。
生理的に受け付けないとかは置いておいて舌はもっと正直だと思うのです。
だから、修行中の僧侶でさえ塀を飛び越えて飲みに来るほど旨いというところから名前の付いた「ファッチューチョン(佛跳牆)」というスープが考案されたり、菜食主義者のヤンソンさんもアンチョビの刺激的な香りに負けてつい食べちゃったと言われる「ヤンソンの誘惑」なんて料理があったりするのです。
建前は置いておいて美味しいんですから^^
他方、動物性のものを使わなくても美味しい料理ができないかという探求も長い年月行われてきました。
精進料理はそのひとつの集大成だと僕は思います。
21世紀の今、肉の代用品の研究が目覚ましい成果を上げ始めています。
その原料はさまざまですが注目株のひとつに大豆があります。
いわゆるソイ・ミート(大豆のお肉)と呼ばれる食品は少し前までは「美味しくない」と敬遠されがちでしたが近頃のものはそうでもないらしい。
ということで、ものは試しと買ってきて調理してみたのでレシピをメモしておきます。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- ご飯:2膳分
- トマトケチャップ:45g(大匙3)
- おろしにんにく:ふたかけ分
- ピザ用チーズ:適宜(なければスライスチーズ2枚)
[ミートソースパート]
- ソイ・ミート(ミンチタイプ):50g
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- トマト缶:200g(1/2缶)
- コンソメの素(顆粒):2g
- 味醂:28g(大匙1.5)
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 塩:ひとつまみ
【作り方】
- のソイ・ミートとオリーブオイルをフライパンに合わせて中火で1分炒めます。[ミートソースパート]の残りを加えてひと煮立ちさせ弱火にして水っぽさがなくなってどろっとしたとろみが付くまで煮込みます。
- 1.をやっている間にボウルにご飯、トマトケチャップ、おろしにんにくを合わせてよく混ぜます。これを耐熱皿に移して平らに均します。1.の煮込みが始まったらオーブンを230度に予熱し始めます。
- 2.の耐熱皿に1.をかけて平らに均します。その上からピザ用チーズをたっぷり振りかけます。
- 3.を230度のオーブンで10分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- 黙って出せばただのミートドリアだと思われるテイスト。全然、違和感がありません。植物性由来の材料だけで作った料理とは思えない満足感があります。
- 脂質に物足りなさを感じるかもなのでオリーブオイルとチーズはたっぷりめに使うのがコツです。
- ソイ・ミートは水で戻すタイプが主流だったのですが最近は水戻し不要でそのまま使えるお手軽なものも出ています。ただ、2021年2月現在で100g/198円でした。豚ミンチだと100g/100円くらいなのでコスパに関しては今後の課題ですね。
- 遠くない未来、「動物を飼育してそれを殺して食べていたんだって」なんておどろおどろしげに昔語りされる時代がくるんでしょうか。ちょっと、不思議な想像をしてしまったランチタイムでした。