大学時代に通い慣らした居酒屋がありました。
店の名前は「酒樽」。
僕が3回生だった時に店主ご夫妻が高齢のため店をたたまれたのですが、あれからもう三十余年経つのに店のカウンターでぐい呑を煽っていたのが昨日のことのように感じられます。
この店には暖簾をくぐってスツールに腰を下ろすとメニューを見もせずに開口一番注文する大好物の肴が3つありました。
1つは季節を問わずに頼む「ニラ玉」。
2つ目は冬のお楽しみ「牡蠣酢」。
そして3つ目は夏のお楽しみ「焼き茄子」でした。
暑い季節。お婆ちゃんが炭火で焼いてくれる茄子にちょいちょいっと醤油をかけて戴くと口の中いっぱいに香ばしい茄子の味が広がってくる──30年以上経った今でも舌があの味を覚えています。
僕にとって「焼き茄子」という料理の原風景は間違いなく仄暗い居酒屋のカウンターに置かれた小鉢の中にあります。
なので、それ以外の焼き茄子の食べ方なんて考えられない!
ましてや洋風の焼きなすなんて論外!!
なあんて思っちゃうのですが、作ってみたらこれが意外に美味しかったりするのです。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 茄子:2本
[ソースパート]
- カットトマト(缶詰でもOK):30g
- 玉ねぎ:1/8個
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- おろしにんにく:ひとかけ分
- 塩、ブラックペッパー:少々
- バルサミコ酢:5g(小匙1)
- レモン果汁:5g(小匙1)
- (あれば)生バジルの葉:2枚
[仕上げパート]
- (あれば)生バジルの葉:2枚
【作り方】
- 茄子はがくを取って竹串で数箇所穴を開け250度に予熱したオーブンで15分焼きます(途中で1度ひっくり返します)。 ※オーブンがなければ茄子をアルミホイルで包んでオーブントースターで10分焼きます。
- 1.をやっている間に[ソースパート]の玉ねぎと生バジルをみじん切りにし[ソースパート]の残りとよく和えます。
- 1.が焼けたら熱いうちに皮を剥き(火傷に注意)。ざく切りにします。
- 2.と3.を和えて器に盛り[仕上げパート]の生バジルを飾ればできあがり。
【一口メモ】
- 焼きなすをイタリアン風のドレッシングでマリネしてみました。レモンとトマトの爽やかな風味が全体のテイストを軽やかにして和風の焼き茄子とはまた別の趣がありますね。
- このレシピの段取りポイントは工程1.で茄子を焼いている間に残りの作業を全て済ませておくこと。そうすれば茄子の焼き上がりと同時にほぼ料理が完成します。
- 焼き茄子ではあるのですがどちらかというと冷蔵庫で冷やして冷菜として食べるのがオススメです。
- お好みで生ハムやかりかりに焼いたベーコンを加えても楽しいですよ。