「明日もう一度この店に来てください。俺が本物の●●をごちそうしてさしあげますよ」
ご存じ美味しんぼの主人公、山岡士郎さんの決め台詞です。
「ご存じ」なんて筆を滑らせてしまいましたがそういっても過言じゃないくらい多くの日本人がどこかで見かけたことのあるフレーズじゃないですかね。
で、次の日のこのこやってくる相手もどれだけ暇やねんとか思ったものです(山岡さんがケンカを吹っ掛ける相手は会社の社長とか社会的地位の高い人が多くてめちゃ忙しいはずなのに)。
故渥美清さんに「それを言っちゃぁおしまいよ」って言われそうですが誰か一人くらいジョジョばりに「だが断る」とか言ってほしかったな。
って、話を戻して。
山岡さんが持ってくる「本物の●●」に異論があるわけではなく、美味しいのも間違いがないとは思うのですが、「本物じゃない」と言われた●●の扱いがちょっとひどくない? と振り返ってみて思うのです。
たとえば最初期のエピソードで「あんきもはフォアグラより旨い」という話がありました。
確かにあんきもは旨いです。
あれを肴に熱燗で一杯なんてほんとたまりません。
けどね、フォアグラもめっちゃ旨いんですよ。
「人間の小賢しい悪知恵で作り出した病的な肝臓」なんて山岡さんは罵倒していましたがその「小賢しい知恵」で動物虐待までして食べたくなるくらい旨いんですよ。
倫理的な問題は一旦脇に置いておいてという話ですが。
「あんきももフォアグラもどっちも美味しい」ではダメなのかな?
なんてリアルタイムで連載を読みながら思ったものです。
それにね山岡さんが持ってくる「本物の●●」は一般人には手に入りにくいものばかり。
山岡さんの異常なほどの人脈があって初めて入手できるもののオンパレードなんですよね。
加えて値の張るものも多い。
最終的に山岡さんは究極のメニューでコンビを組んでいた栗田さんとご結婚なさいましたがあの家庭のエンゲル係数は凄いことになってるだろうななんてよそ様の懐事情をちょっと勘ぐりたくなります。
昨今、諸物価高騰の折、ますます「本物の●●」からは縁遠くなっている気がする今日この頃。
「そんなものは本物の●●じゃない」
なんていくら山岡さんに叱られても財布の中身は有限。
毎度毎度の食事にいちいち「本物の●●」のために財布の紐を緩めるわけにいかないのが一般人の実情。
けど、美味しいものは食べたい!
ならば本物じゃなくっても、邪道だったとしても、身近にあるものを工夫して美味しい料理に仕上げるのは決して悪いことじゃないと思うのです。
「これは本物じゃない」といったわけのわからない罪悪感なんて蹴とばしちゃえ──なんてこの料理を作りながら思っちゃいました。
【材料】(1人分)
-調理時間:7分-
- 鶏ハツ:100g
- あまとう:2本
- 玉ねぎ:1/4個
- サラダ油:4g(小匙1)
[調味料パート]
- 焼き肉のタレ(市販品):12g
- 醤油ラーメンの粉末スープ:2g
【作り方】
- 鶏ハツは半分に切って血の塊を包丁の刃先で取り除き軽く水洗いします。あまとうはヘタを取って小口切りにします。玉ねぎは細切りにします。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ鶏ハツ、玉ねぎを加えて2分ほど玉ねぎがしんなりするまで炒めます。
- あまとうと[調味料パート]を加えて調味料を絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- すっげぇ旨かったのでこれはレシピを残しておかねばと思いこの記事を書きました。ラーメンの粉末スープなんて化学調味料満載で、美味しんぼ的にはNGの極みなんでしょうけど美味しいものは美味しいと思っちゃうのです。
- 袋ラーメンのスープは完飲すると塩分過多になるそうなので半分の量で作って残った粉末スープは後日こんな風に炒め物などに活用しています。これさえあれば何もいらない的調味料でめちゃ便利ですよ。特にとんこつラーメンのスープは風味が独特でお気に入りです。
- 手持ちの食材で鶏ハツ、あまとうを使いましたが炒め物に使えるお肉、野菜ならなんでもOK。あり合わせでトライしてみてください。