今からちょうど200年前、というと江戸時代になるのですが不思議と20世紀末から21世紀にかけての今とよく似た世相になっていました。
文化文政時代とも呼ばれる江戸後期のこの頃、長らく戦とは縁のない暮らしをしていた庶民生活は娯楽にあふれていました。
たとえば恋川春町(こいかわはるまち)という戯作者が「金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)」という戯作本を1775年に出しています。
それまで子供が読むものと決めつけられていた草表紙はこの一作で大人が読む娯楽本「黄表紙」に変貌を遂げ、その後大量の話が書かれて、たいそう売れました。
新井素子が作品を世に出し始めたのがその200年後の1970年代半ば。
彼女を草分けにしてライトノベルと呼ばれる娯楽小説が一大ジャンルとして台頭していきます。
今やアニメの原作でも定番のライトノベルですがちょうど200年前に似たブームが起きていたんですね。
庶民が楽しんだ娯楽は小説や歌舞伎などの芝居だけではありません。
文化文政の頃には一大グルメブームが巻き起こり寿司や天ぷらなどその後目覚ましい進化を遂げる料理が生まれました。
このあたりもバブル前後を発端にしたグルメブームとびっくりするくらいよく似ているのです。
ちょうどその頃、江戸に「柳川」というどじょう屋がありましてささがきにした牛蒡を一緒に煮て卵でとじるスタイルの鍋料理を考案しました。
後にどじょう以外のものもいろいろ使われるようになるのですが、このスタイルの鍋は店の名を取って「柳川」風と呼ばれるようになりました。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- ささみ:1本
- 卵:1個
- ごぼう:10cm
- 野菜類:人参、葉野菜、椎茸などありあわせで
[煮汁パート]
- かつおだし:150g(カップ3/4)
- 濃口醤油:18g
- 味醂:18g
【作り方】
- 包丁をまな板と水平に寝かせてささみをそぎ切りにします。ごぼうはささがきにし、野菜類は食べ易い大きさに切ります。卵は卵黄を崩さないようにして周りの卵白をよく溶いた後、ざっくり黄身が崩れるように混ぜます。 ※卵白と卵黄が混ざりすぎないように注意します。
- フライパンに[煮汁パート]を張ってひと煮立ちさせ卵以外の具材を加えます。蓋をして中火で3分煮ます。
- 2.に卵を流し込み蓋をせずに40秒煮ます。火を止めて蓋をし、2分蒸らせばできあがり。
【一口メモ】
- はんなりと優しい味がします。鶏の中でもささみは淡白なので濃いめの出汁に良く馴染んでいる感じ。
- 卵は卵白と卵黄で固まる温度が異なるためきっちり混ぜてしまうととろみ感が出なくなります。ざっくり混ぜるくらいにしておくと、とろとろの半熟になって美味しいですよ。
- ささみは他のお肉や魚と置換可能です。缶詰のイワシや秋刀魚の蒲焼でも美味しく作れます。