冷蔵庫がなかった時代、酢は食料品の守り神でした。
鮮度の落ちやすい魚や野菜を酢漬けにすることで長持ちさせるというのは経験から得た知恵だったのでしょう。
酢の歴史は酒の歴史とほぼ同じ長さです。
酒に含まれるエチルアルコールが酸化することでアセトアルデヒドになり更に酢の酸味の元になる酢酸に変化する仕組みは古くから知られていて酒と酢はセットで造られたようなのです。
ただ江戸時代、米から作る米酢はとても高価だったらしいので代わりに酒粕から造られる酢、「粕酢」というのが出回っていたそうな。
21世紀の今では酢はありふれた調味料ですが、ちょっと変わった立ち位置にありますよね。
砂糖のように甘くもなければ、塩、醤油、味噌のように辛くもない。
ただ、酸っぱい。
この酸味という味覚は上手に使うと単調な煮物に変化を与えてくれます。
冷蔵庫の普及で「食べ物を長持ちさせる」という役割からは引退した観のある酢ですが、酸味というアクセントを料理に与えるという役割の方はバリバリの現役選手なのです。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 鶏もも肉:1枚(250gくらい)
- 蓮根:1節(小さいものなら2節)
- 人参:半盆
- サラダ油:少々
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 酢:7.5g(大匙1/2)
- 砂糖:6g(小匙2)
【作り方】
- 蓮根は一口大の乱切りにして水(分量外)に晒します。鶏、人参は食べやすい大きさに切ります。
- フライパンにサラダ油と鶏肉を入れてよく和えます。これを弱火にかけて3分いじらずに焼きます。鶏肉をひっくり返して中火でさっと炒めます。
- 2.のフライパンににじみ出た油をキッチンペーパーで吸い取り蓮根、人参を加えてさっと炒めます。
- 3.に[調味料パート]を加えてひと煮立ちさせます。アルミホイルで落し蓋にして弱火で10分煮込みます。
- 4.のアルミホイルを取って中火にし、水気がほぼなくなるまで炒りつければできあがり。
【一口メモ】
- 酸味というアクセントが利いたさっぱりさわやかなお惣菜です。醤油煮や味噌煮に飽きたらぜひどうぞ。
- 余力があれば鶏肉は揚げ焼きにしてから炒めてください。味がワンランクアップします。
- 具材は自由自在、じゃがいもや玉ねぎを加えても構いませんし鶏肉の代わりに白身魚を使っても面白いですよ。