「鶏のから揚げが食べたくなったらどこへ行く?」
以前読んだ小説の中でそんな論争が繰り広げられるシーンがありました。
その小説を読んだのは2007、8年の頃だったと思うのでまだ唐揚げ専門店なんかが登場する前の話ですね。
勿論その当時でもスーパーに行けばお総菜コーナーに唐揚げも並んでいたでしょうけど主人公たちが食べたいのは揚げたての熱々のやつなのです。
「中華飯店」と誰かが言えば
「居酒屋」という人もいる。
「ラーメン屋」なんて人も出て来る。
そう、ラーメン屋のサイドメニューに唐揚げがあるお店も多いですよね。
けど、「お好み焼き屋」とか「うどん屋」とか「カレーハウス」なんて意見は出てこない。
僕らは暗黙の了解として鶏のから揚げが食べられる飲食店とそうでない飲食店を理解しているんだなとその小説を読んで改めて気づきました。
似たようなことは他の料理にも当てはまります。
つまり特定の飲食店に行かないと食べられない料理──たとえば
炒飯が食べたければ中華飯店かラーメン屋に行くべし。
コロッケが食べたかったら洋食屋か肉屋でテイクアウトすべし。
かつ丼が食べたくなったら蕎麦屋に行くべし(今は揚げ物や丼物専門のチェーン店もたくさんありますが)。
カレーうどんが食べたくなったらこれも蕎麦屋に行くべし。
間違ってもカレーハウスに行ってもまず出している店はありません。
なんてね。
そういった「そこに行かないと食べられない料理」において一番懐が深いのが居酒屋じゃないかなと僕は思っています。
居酒屋に行かないと食べられないものは星の数ほどあるのです。
茹でた枝豆が食べたくてラーメン屋に行く人はいますまい。
牛すじやモツの煮込みが恋しくてうどん屋の暖簾をくぐるなんてのもナンセンス。
ポテトサラダ、串焼き、串揚げ、各種サラダなども居酒屋の独壇場。
もちろんファミレスなどで食べられるものもあるでしょうけどなんか違うと酒飲みのぼくなんかは思ってしまいます。
そして、この料理の本歌──「たこわさ」もまたしかり。
スーパーで売られているパックに入ったたこわさとは一味違った店の味を楽しめるのも居酒屋ならではだと思います。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 鶏ハツ:100g
- 玉ねぎ:1/4個
[調味料パート]
- 白だし:5g(小匙1)
- 味醂:6g(小匙1)
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- おろし生姜:ひとかけ分
- 鷹の爪(小口切り):半本
- わさび:チューブ6cm分(たっぷり目がおススメ)
【作り方】
- ハツを茹でる湯(分量外)を沸かします。待っている間にハツを半分に切り血の塊を包丁の刃先でこそげて取り除きます。その後、ハツを流水で洗います。
- 湯が沸いたらハツを投入し弱火で5分茹でます。待っている間に玉ねぎを薄くスライスします。盛り付ける器に玉ねぎと[調味料パート]を合わせてよく和えます。
- ハツが茹で上がったらざるに揚げて湯を切ります。これを2.の器に入れてよく和えればできあがり。冷蔵庫で冷やして戴きましょう。
【一口メモ】
- ツンと鼻に抜けるわさびの風味とハツの独特の食感がクセになります。箸でつついてちまちま食べるスタイルはThe・おつまみって感じ。
- 過日、鶏ハツのアヒージョを食べていてこのくにゅくにゅした食感ってタコに似ているなと思いまして「たこわさ」を元にした本歌取りでこの料理を作りました。タコは近頃すっかり高くなっちゃっていますがハツは100グラム60円くらいなのでお財布にも優しいんですよ。
- [調味料パート]の味付けは汎用的で他の食材でも使えます。ボイルしたイカや貝と合わせれば「イカわさ」、「貝わさ」になりますし牛や豚のモツを使っても面白いツマミになりますよ。