一口に酒のみと申しましてもいろいろな飲み方のスタイルがあります。

例えば僕は酒飲みを自認しますが「みんなでわいわい言いながら」飲むスタイルは苦手。
ましてや「体育会系のノリでウェーイしながら飲む」のはもっと苦手。

静かに飲むのが好きな──
いわゆるサイレント・ドランカー・タイプです(って、今勝手に呼称を作ちゃった)。
飲むスピードはごくゆっくりで遅めのピッチ。
但し、ほっとくと1時間後、3時間後、10時間後……
いつまで経ってもそのペースで飲み続けて飲むのを止めないというマラソンランナー・タイプ。

夕方の5時頃から先輩と飲み始めて日が変わった夜中の2時に店が看板になるまで飲み続けていたなんてこともありましたっけ(をい)。
そういうスタイルなので肴も唐揚げなどのがっつり系よりは箸でちょっとずつつまめる小鉢料理みたいなのが好き(あ、唐揚げも大好きですが)。
空腹を満たすために食べるというよりは口寂しくなるから食べるタイプだと思います。

てか、長時間飲みたがるので一気に満腹感が来ない料理が良いんですよね。
そういう嗜好なので賛否両論あれど僕は居酒屋の「お通し」的な小鉢料理を酒の肴として好ましく思います。
「お通し」は居酒屋の椅子に座ると自動的に出される小料理のこと。
客が注文した料理が出てくるまではこれを酒の肴にして凌いでくださいという意図を込めて「おしのぎ」と呼ぶ店もあります。

ではどういった料理が理想的な「お通し」と言えるだろうか──僕の考えをちょっとまとめてみました。
ポイント1:非日常感
なんだか毎日家で出されているようなおかず的な皿が出てきたらやはり興ざめです。

居酒屋ならではと呼ぶにふさわしい1品が出てくるとこれから酒を飲む身としてはテンションが上がります。
ポイント2:見た目の美しさ
盛り付けも重要なポイント。

家で食べるおかずはどうしても雑に器に盛った感じになりがちですが見栄え良く盛られた料理はお店で食事をしているんだと再認識できて気分が高揚します。
ポイント3:旬の素材を使っていること
食材は旬のものがやはり美味しい。
春には芽を。
夏には葉物を。
秋に木の実、冬には根菜。

それに季節らしい魚介があしらわれていたらいうことなしです。
ポイント4:客への気遣い
料理ではありませんが店で出されるおしぼりも真夏にはひんやりとつめたいものが真冬には逆にホカホカあたたかいものが出されるだけでほっと気分が落ち着きますよね。
冬の夜。
寒い夜道を凍えながらやってきて店の暖簾をくぐる客にとって暖かいお通しはもうそれだけでご馳走なのです。
そして逆もまた然り。
暮れかけても衰えを見せない暑気の中、汗を拭きながら入って来た客に出される小鉢が冷蔵庫でキンキンに冷やされたこんな料理なら──一

緒に飲むビールはどれほど美味しいことでしょう。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(粗熱を取る時間、冷蔵庫で冷やす時間は含めていません)-
- 鶏ハツ(心臓):100g
- 胡瓜:半本
- ラー油:数滴
[下味パート]
- ごま油:8g(小匙2)
- 塩:1g(小匙1/6)
- 酒:10g(小匙2)
[タレパート]
- 濃口醤油:12g(小匙2)
- 味醂:6g(小匙1)
- 酢:5g(小匙1)
- 豆板醤:6g(小匙1)
【作り方】
- オーブンを200度に予熱します。鶏ハツは観音開きにして血の塊は包丁の刃先で取り除き流水で洗ってざるに揚げます。耐熱皿に鶏ハツと[下味パート]を合わせてよく和えます。
- オーブンが温まったら天板に1.の耐熱皿を置き下段に入れて15分焼きます。待っている間に胡瓜は3mm厚の斜め切りにして更に細切りにしておきます。[タレパート]を合わせてよく混ぜておきます。
- 鶏ハツが焼きあがったら盛り付ける器に移して[タレパート]を加えてよく和えます。粗熱が取れたら胡瓜を加えてよく和えます。これを冷蔵庫でキンキンに冷やせばできあがり。お好みでラー油をかけて戴きます。
【一口メモ】
- ひんやりと冷えた料理が既に夏のご馳走。ハツのコリコリした食感、豆板醤のひりつく辛さ、酢の酸っぱさ、なにもかもが夏のご馳走。なんだか急に夏が好きになってしまいそうな一品です。
- 鶏ハツって串に刺して炭火焼するイメージが強いのですが小鉢料理にしてみるとまるで違う顔を見せてくれてなんか新鮮ですよ。
- お酒のつまみを想定して辛い味付けにしてみましたがお惣菜っぽく作るのならタレパートに砂糖6g(小匙2)またはハチミツ7g(小匙1)を加えてください。
- 夏らしく合わせる野菜は胡瓜にしてみましたが大葉や三つ葉など香味の強い葉野菜を合わせても美味しく作れます。ポイントは生食できる野菜をチョイスしてオーブン焼きの粗熱が取れてから和えることです。こうすれば香味を損ないません。

