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炒飯

チキンライス風炒飯

名作映画のリメイクにはリスクが付きものです。

一生懸命作っても「二番煎じ」だの「駄作」だのといった誹りを受けがち。

挙句には「作らなければ良かったのに」とまで言われることも珍しくありません。

けど、中には前作に匹敵する名作と評価される作品も少なからずあります。

例えば……。

それ自体、古典の部類に入りますが「ウエストサイド物語」。

これはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きにした作品です。

同作は映画だけでなく、ブロードウェイでもロングラン公演となりました。

あるいはジョン・スタージェス監督の「荒野の七人」。

これは黒澤明監督の「七人の侍」のリメイクです。

こちらも正確な数字は不明ですが、アメリカで最もテレビ放送された映画のひとつとも言われており、人気のほどがうかがえます。

そして僕個人としてはジャッキーチェン主演の作品群の中で一番好きな1本『奇蹟/ミラクル』。

これはピーター・フォークが主演した『ポケット一杯の幸福』のリメイクです。

主人公のギャングのボスは危険な取引などに向かう時、貧しいリンゴ売りの婦人からりんごを買うのをゲン担ぎにしていました。

そんな彼女が、外国に留学させている娘についていた"嘘"が壊れかけた時──手を差し伸べたのはたまにりんごを買っていくだけの関係だったギャングのボスだったというハートフルなお話。

香港で同年の年間興行成績第2位を獲った大ヒット作です。

これら『成功したリメイク作品』には共通点がいくつかあります。

ひとつめは『物語の骨子(ストーリーの論理構成や主要イベント)』は変えないこと。

まあ、「果物から生まれた少年が悪党を退治する物語」を作って浦島太郎のリメイクですと言われても困りますよね。

ふたつめは5W1Hの中のWho(登場人物や登場する組織)の役割(Role)を踏襲していること。

例えばウエストサイド物語には対立する不良グループ、それぞれのグループに属する男女が登場します。

荒野の七人には貧しい村(村人)、それを襲う山賊(悪人)、村人が雇ったガンマン(正義の人)が登場します。

奇蹟/ミラクルにはストリートベンダー(街頭商)の貧しい婦人、ギャングのボス、留学している婦人の娘が登場します。

ここを変えてしまったら物語のコンセプトが維持できなくなるのです。

反面Whoの特性(キャラクター)は大胆にアレンジされることが多いです。

例えば奇蹟/ミラクルではギャングのボスがなぜかカンフーの達人ということになっているのですが……

これはジャッキーファンへのサービスでしょう(笑)

そして3つめ。

5W1Hの舞台装置に当たるWhen(時代背景)とWhere(土地柄)はむしろ積極的にアレンジが加えられてオリジナルとの差別化が図られます。

ウエストサイド物語ではヴェロナはマンハッタンに、対立する2大貴族は2つの不良グループになりました。

荒野の七人では侍が凄腕のガンマンに、時代も戦国時代から南北戦争で国が荒れている時代に置き換えられています。

奇蹟/ミラクルではもちろん舞台が香港に置き換えられました。

情報を整理するとリメイク作品が組み立てられる手順は──

  1. 物語の骨子を見極めてそれをストーリーコンセプトにする
  2. 登場人物の役割(Role)を見極めてそこは据え置きにする
  3. 舞台装置(登場人物のキャラクター、時代背景、土地柄)に大胆なアレンジを加える

となります。

さて、料理の世界でも既存の料理のリメイクはよく行われます。

例えば今日の料理は一見するとチキンライスと炒飯を合体したものに見えます。

けどね、これ実は「親子丼」のリメイクなのです。

親子丼がどうやってこの料理にリメイクされたかを映画のリメイク手順になぞらえて追ってみましょう。

1.親子丼の骨子は「鶏肉と卵を親子に見立てたご飯もの」ということになります。

まず、これは動かさないと決めます。

2.親子丼の主な登場人物は鶏肉、卵、ご飯の3つ。

これらの役割を整理してみましょう。

(1)風味:

鶏肉は料理の旨みの要、ダシ要素です。

卵はコクとまろやかさをプラス。

ご飯は割り下を吸って料理全体の味を支える役割を担います(これは鶏肉の卵とじというおかずではできないこと)。

(2)食感:

鶏肉の弾力のある食感。

卵のふわふわ感。

ご飯の独特の噛み応え。

異なる食感がコントラストになることで飽きずに料理を食べ進められます。

(3)栄養:

鶏肉と卵はたんぱく源となります。

しかも他の獣肉に比べて低カロリー。

対してご飯の炭水化物は効率的なエネルギー源となり全体として栄養バランスの良い料理になります。

これら1.と2.を踏まえて舞台装置を大胆にアレンジ。

鶏肉とご飯から連想したチキンライスをモチーフにトマトケチャップを主軸にした味付けにチェンジ。

その結果、見た目が地味だった親子丼が華やかな赤い衣装を纏いました。

キリッとしたトマトの酸味もまた新鮮です。

そして、卵とご飯から連想した炒飯の調理法を導入。

卵のふわふわ感は影を潜めましたが代わりにご飯をコーティングしてパラパラに。

つゆだくの親子丼とは好対照の1品に仕上げました。

映画のリメイクになぞらえた料理のリメイク手法、映画好きにはたまらない料理の新しい楽しみ方かもしれません。

慣れると意外と簡単なので、ぜひいろいろ試してみてくださいな。

【材料】(1人分) 

調理時間:10分-

  • ご飯:1膳分
  • 鶏肉(もも肉でも胸肉でもOK):50g
  • 卵:1個
  • サラダ油:12g(大さじ1)
  • 玉ねぎ:1/4個
  • ピーマン:半個
  • 中華スープの素:3g

[ソースパート]

  • トマトケチャップ:30g(大さじ2)
  • 白ワイン:5g(小さじ1)
  • ホワイトペッパー:ひと振り

[仕上げパート]

  • バター:5g

【作り方】

  1. 鶏肉は皮付きのまま1.5cm角の角切りにします。卵はよく溶いておきます。玉ねぎ、ピーマンはみじん切りにします。[ソースパート]を合わせてよく混ぜておきます。 ※鶏肉は少し大きめに切ってごろごろ感を出した方が弾力のある食感を満喫できるのでおすすめ。これは炒飯なので脂の多い皮も一緒に加えちゃいましょう。
  2. 中華鍋かフライパンにサラダ油を入れて強火で温めます。うっすらと煙が立ち始めたら卵を入れて手早くかき混ぜます。これにご飯を加えてよく和えながらパラパラになるまで炒めます。これを一旦皿に取ります。
  3. 2.の中華鍋を洗わずに鶏肉と玉ねぎを入れて中火にかけ鶏肉の色が変わるまで炒めます。これに[ソースパート]を加えてよく絡めながら30秒煮るように炒めます。これに2.のご飯とピーマンを加えてよく和えながら炒めます。ご飯の色が均一になってきたら中華スープの素を加えてよく混ぜます。 ※ピーマンは火の通りが早い野菜なので最後に加えます。こうすることでシャキシャキとした食感が残るのです。
  4. 3.に[仕上げパート]を加えてひとまぜすればできあがり。

【一口メモ】

  • ケチャップ主体のテイストは明らかに洋食だけど、パラパラの食感はまさに炒飯。中華鍋から生まれたチキンライスと呼ぶべき料理に仕上がりました。
  • 手持ちがあれば椎茸などの茸類を加えてもOK。全てみじん切りにして工程3.の鶏肉、玉ねぎを加えるタイミングで一緒に加えてください。
  • この料理は親子丼のリメイクとして作りました。鶏肉と卵を親子に見立てたご飯ものというコンセプトはそのままに舞台装置を大胆にアレンジしてみた次第。けど、後から気づいたのですが、見方を変えるとご飯、鶏肉、卵、玉ねぎ、ケチャップを使っているからオムライスの変化球とも言えるのかな(笑)

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