仕事をリタイアしてから毎週木曜日にお弁当を持って近所の公園にピクニックに行くという習慣を加えました。
季節によって木々の色合いが変わるのを眺めながら戴くお弁当は格別。
良い気分転換になっています。
お弁当の献立は毎月テーマを決めてそれに沿って組み立てております。
2024年11月のテーマは「冬支度」。
江戸の市井の人たちが冬の到来時期にやっていた諸々の支度になぞらえて献立を組んでみるという趣向です。
第一回のコンセプトは「衣替え」。
第二回は「炬燵に火鉢」という設定。
なかなか楽しい献立が組めました。
三回目のコンセプトをどうするか思案していたのですが「衣替え=衣」、「炬燵に火鉢=住」と来たらやはり次は「食」だろうと思い至り「保存食」を主軸にした献立を準備中です。
献立を考えながら江戸時代の村では冬の間中どんなものを食べていたんだろうと想像を膨らませてみたのですがちょっと背筋がぞわそわっとするような結論に至ってしまいました。
冷蔵庫がない時代なので生もの、生野菜は日持ちがしない。
江戸市中ならまだしも小さな山村ともなれば食料品を売っている店もない。
コンビニはおろか、スーパーも個人商店もない!
周りは雪を被った山ばかりで山菜摘みもままならない。
その状況下で半年近く食べつなぐというのは日常生活というよりもはやサバイバルに近いのでは?
僕らのご先祖様が食べていた冬の主な食料は保存食だったようです。
保存法は主に2つあって1つは乾物。
野菜や茸を軒先に干すことで日持ちするようにしたもの。
もう1つは塩漬け。
漬物をはじめとして魚や野鳥を塩漬けにして保存したものだったようです。
年貢に取られてしまって米も乏しい彼らの日々の食卓に上るのは乾物を煮た料理と漬物のみ。
それに比べて僕らの食事はご飯と汁物はデフォルト。
更におかずが2、3品はないと文句が出る──って、なんか「罰当たり」という言葉が似つかわしいような贅沢をしているなぁと改めて思いました。
例年の食生活がそんな感じでしたからひとたび凶作が発生すれば飢餓が猖獗を極めるのは必至。
食料が枯渇すれば餓死あるのみだった時代においてそばやサツマイモのような救荒作物(一般の作物が不良で凶作の時にも生育して収穫できる作物)の普及は正に恩寵だったことでしょう。
かつて飢饉の折に多くの人の命を救ったさつまいもも21世紀の今となってはスーパーで簡単に手に入るありふれた根菜。
日々の糧に困らない生活に感謝を込めてせめて美味しいおかずを拵えて戴くこととしましょう。
しっかしタイムスリップ物のSFなどでは扱われたことがない気がするけど現代人が江戸時代にタイムスリップしたらまずは食事の貧しさでギブアップするんじゃないかな。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- 豚ローススライス生姜焼き用:4枚(約80g)
- さつまいも:半本
- 玉ねぎ:1/4個
- 塩、ブラックペッパー:少々
- サラダ油:4g(小匙1)
[調味料パート]
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 味醂:12g(小匙2)
- バター:10g
【作り方】
- さつまいもは皮付きのまま5mm厚の半月切りかいちょう切りにして水(分量外)に5分晒します。豚肉は食べやすい大きさに切って塩、ブラックペッパーをまぶします。玉ねぎは細切りにしてまな板の上で広げ空気に晒します。
- さつまいもを耐熱皿に入れて大匙1の水(分量外)を振りかけてラップをします。ラップに串で2、3箇所穴を開け電子レンジの500ワットで2分30秒チンします。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ玉ねぎを加えてしんなりするまで炒めます。玉ねぎを端に寄せて豚肉を加えて色が変わるまで炒めます。
- 3.にさつまいもと[調味料パート]を加えて絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- さつまいもと豚肉は好相性で煮物にして良し、炒め物にしても良し。バターの風味がまた食欲をそそります。
- 冷めても美味しいのでお弁当のお菜にもぴったりですよ。
- 電子レンジで加熱するのはちょっと抵抗があるという方は工程2.でさつまいもを10分塩茹でにしてください。
- お好みでごまを振ると風味が格段に上がりますよ。