料理の原初は恐らく食材を炙り焼いて寄生虫などを死滅させ食あたりを予防することと塩気を振って味をつけるとともにミネラルを補給することだったんじゃないかなと想像します。
どちらも最初の目的は「美味しく食事をする」ではなく病気から身を守ったり栄養を補給するなどもっと現実的なものだった気がするんですよね。
で、実際そうやって食べてみたら美味しかった──味の良さは後から付いてきたと想像します。
やがて人は炙り焼くことの欠点に気づきます。
身がしまって硬くなる。
動物性蛋白は高温に晒すと硬化するので噛み切るのが大変になるほど固くなっちゃうのです。
やがてそれを克服すべく「茹でる」という調理法が考案されました。
水は沸騰しても100度以上に温度が上がらない特性を利用して食材にやんわり火を通す技法です。
さまざまな調理技法が考案された現代でもこの技法は古びることなく頻繁に使われます。
更に最近はヨーグルトメーカーなどの便利な道具も登場して動物性蛋白が硬化する70度以下の温度を保ってじんわり火を通すことも可能になりました。
焼き物や炒めものでは得られないモチモチ食感のお肉という摩訶不思議な料理も作れるようになったのです。
【材料】(2人分)
-調理時間:2時間10分-
- 豚こま:200g
- 玉ねぎ:1/2個
- ピーマン:1個
- サラダ油:少々
- 粗挽きブラックペッパー:少々
[調味料パート]
- 柚子胡椒:小匙1/2
- 濃口醤油:18g(大匙1)
- 酒:15g(大匙1)
- 味醂:36g(大匙2)
【作り方】
- を合わせてよく混ぜます。豚肉を食べやすい大きさに切ります。[調味料パート]と豚肉をジップロックに合わせて空気を抜きます。 ※ジップロックにストローを差して口を閉じストローで中の空気を吸い出すときれいに空気が抜けます。
- 1.を炊飯器に入れてひたひたのお湯を注ぎます。炊飯器の保温モードのスイッチを入れそのまま2時間放置します。 ※炊飯器の保温モードは約70度に設定されているのでお肉が硬くなりません。
- 2.をやっている間に玉ねぎとピーマンは細切りにします。フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ玉ねぎを加えてしんなりするまで炒めます。これにピーマンを加えてさっと炒めます。
- 2.の中身をボウルに載せたザルで濾して肉とつけ汁に分けます。肉はくっついて塊になっているのでよくほぐします。
- 4.のつけ汁を3.のフライパンに加えて中火にかけ水気がなくなるまで炒めます。火を止めて肉を加えざっくり混ぜればできあがり。お皿に盛って粗挽きブラックペッパーを振って戴きます。
【一口メモ】
- お肉がもっちもちに柔らかくクセになります。小さい子供さんや歯の悪いご老人にも喜んで食べてもらえると思いますよ。
- 安いお肉は往々にして硬いものですがこのやり方ならその問題も解消できます。
- [調味料パート]
- にはお好みで葱や生姜などの薬味やスパイスを使ってみてください。風味が変わって楽しいですよ。
- お肉は豚肉以外を使っても美味しくできます。味付けもコンソメの素などを使って洋風にするのもありですね。