和食の世界で食事の途中で口の中をさっぱりとさせたり、味に変化をもたせるためにいただく簡単な料理のことを「箸休め」と呼びます。
「舌休め」や「口休め」ではなく「箸休め」と呼ぶところが面白いですね。
元々、和食の世界では食事の所作を箸を使って表現します。
「箸を取る」、「箸を伸ばす」、「箸が進む」、「箸が止まる」──ただの道具である箸の動きを表現しているだけなのに食事をしている人の感情やその料理を美味しいと感じているかどうかが手に取るようにわかる。
それがなんか優美で格好良いなと思います。
箸休めはその目的からいわゆる副菜とは異なります。
酢の物や漬物、せいぜい軽い和え物程度で舌をリセットしたら次の皿が供されます。
そう、箸休めは次に新しい料理が出てくることを前提として供される小品なのです。
けど、単品料理で食事をしていても箸休めが欲しくなる時があります。
たとえば強烈に辛い料理なら次に来る料理のためではなくその料理自体を食べ続けるために舌を休ませたくなる時ってありますよね。
そういう時はもう少ししっかりしたボリュームで、けど味はおとなしめな副菜というのもありなんじゃないかな。
もう後に料理は出てこないし。
過日、水煮牛肉を作った夜、あまりの辛さに悶絶して箸が止まる予感をひしひしと覚えたのでもう1品、こんな料理を作っておきました。
一般的な箸休めとは違ってこの料理では口の中はさっぱりしません。
けれど口の中がさっぱりしてしまったらもう二度と激辛ワールドに戻っていく気力が湧いてこない気がしたんですよね。
むしろこういうしっかりした味の料理の方が再び主菜に箸を伸ばす勇気が湧いて箸は進むと計算したのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- 茄子:1本
- ごぼう:10cm
- おろし生姜:ひとかけ分
- にんにくみじん切り:ひとかけ分
- ごま油:12g(大匙1)
[調味料パート]
- 味噌:9g(大匙1/2)
- 濃口?油:6g(小匙1)
- 酒:15g(大匙1)
- 砂糖:9g(大匙1)
- 一味唐辛子:適宜
【作り方】
- 茄子はがくを取って5mm厚のいちょう切りにします。ごぼうはささがきにします。それぞれを5分ほど水(分量外)に晒します。
- 中華鍋かフライパンにごま油とおろし生姜、みじん切りにしたにんにくを加えて弱火で香りが立つまで炒めます。これに茄子とごぼうを加えて中火にし、ごぼうに火が通るまで3分ほど炒めます。(油をしっかり茄子に吸わせましょう)
- 2.に[調味料パート]を加えて水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。お好みで一味唐辛子を振って頂きます。
【一口メモ】
- おとなしめな和食ですが味はしっかりしています。味のはっきりした強い主菜に合わせると箸休めの役割もかねて良いコンビネーションになりますよ。
- 中華風味噌炒めの典型のようなレシピです。具材を色々変えても面白いですよ。例えば数種類の茸オンリーで作ったら良い酒肴になると思います。
- 味は中華風に寄せていますがにんにくを抜くとぐっと和食に近いお惣菜になります。