お湯を注いで3分待てば美味しいラーメンが食べられる──インスタントラーメンの発明は実に画期的なものでした。
特に画期的だったのは「必要なのはお湯のみ」というところ。
それ以前にも実は乾麺というのはあってお湯をかけたり煮たりして戻して食べる麺類というのは存在していたのです。
ただスープ(つゆ)やソースを別に用意する必要があった。
ところが今更言うまでもありませんがインスタントラーメンは注いだお湯でスープまで作ってくれるというところが手軽で楽ちんと評判になったんですね。
お湯を注いでかき混ぜて食べるインスタント食品の起源を探ると蕎麦がきやはったい粉まで遡ることになると思うのですがそれは食べ物というよりは食べ方を指す言葉のような気がしてしまいます。
きちんとした商品として登場した第一号は明治時代に考案された(いつ頃かは不明らしい)懐中汁粉じゃないかなと僕は考えています。
懐中汁粉とはパッと見は最中のような外見で個包装されているので懐に入れて持ち歩けるのでこの名前が付いたお菓子です。
これをお椀に入れてお湯を注ぐとあら不思議。
外の皮がとろけて中から餡が流れ出す。
さっとかき混ぜれば美味しいお汁粉のできあがりという商品で今でもいろいろなお菓子屋さんが販売しています。
仕掛けとしては外の皮の材料はもち米。
中に粉末餡と片栗粉が仕込んであってお湯を注ぐと溶けて汁粉になる。
外の皮は柔らかな餅に変身してお汁粉の具になるというなんかインスタントラーメン的というかカップラーメン的な食べ物なのです。
明治時代に既にそういう商品があったとは──日本人ってこういうのホント好きなんですねたぶん。
明治の昔から昭和くらいまではインスタント食品はお店で売っているものという固定観念がありましたが近頃はそうでもないらしい。
一時期流行っていた味噌玉に代表されるようにお家で作っちゃうこともできるというのが昨今のインスタント食品の常識みたいです。
ちなみに味噌玉というのは味噌汁の具と粉末にしたかつお節を味噌に混ぜ込んで丸めてラップに包んだものです。
これをお弁当と一緒に学校や職場に持っていきます。
昼休みになったらコップに入れてお湯を注ぐと熱々の味噌汁が楽しめるという代物。
やっぱ日本人てこういうの好きだよなw
出汁の素を家で作れるハンディなミキサーがあったり市販の出汁の素も今は化学調味料、塩分無添加の良いものが売られていたりするのでできるテクニックですがホント良い時代になったものです。
過日、ランチに納豆パスタを戴いたのですが付け合わせにするスープも和風にしたいなと考えたのです。
ただ本格的に作るとなると和風のスープはちと面倒──なんて考えていたらこんなレシピと出会いました。
なんてインスタント的! なんて楽ちん! 感動しながらパスタを作る片手間にこしらえてみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:3分-
- 熱湯:200g(カップ1)
[スープパート]
- 梅干し:1個
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 鰹出汁の素:小匙1/2
- 乾燥わかめ:ひとつまみ
- 白ごま、かつお節、刻み葱:適宜
【作り方】
- 梅干しは果肉を種から剥がし包丁で細かく叩きます。
- [スープパート]をカップなどに合わせて熱湯を注げばできあがり。
【一口メモ】
- 材料をひとつのコップに合わせてお湯を注いでできあがり。実にインスタント的なのですが味は本格派。納豆パスタの添え物で作ったのにこれはこれで単品で楽しみたいレベルのスープに仕上がりました。
- このスープの要は白ごま、かつお節、刻み葱などの薬味。他にも焼き海苔、針生姜、昆布の佃煮などできるだけ多くの種類の薬味を加えてみてください。種類が多いほど風味が複雑になり本格的な和風スープになります。
- このレシピでは醤油ベースにしてありますが味噌に置き換えても美味しいですよ。あとお好みで少量の柚子胡椒を加えたり七味唐辛子を振っても楽しいです。