大学に入った年に男声合唱団に加入し、卒業してからは社会人の混声合唱団に籍を置いて30年近くコーラスは僕の日常の一部になっていました。
パートはバリトン。
男声合唱では下から2つ目に低い音域のパートです。
混声合唱ではバス(一番低い音域のパート)に属します。
やってみるとすぐにわかることなのですがこのパートは非常に地味です。
下の方で同じ音程を鳴らし続けているか主旋律とは程遠い奇妙な音階を鳴らしているばかり。
ま、たまにむちゃくちゃカッコいいパートソロが回ってくることもあるのですが。
とまれ、単体で聴くとちっとも楽しくない音楽に聴こえてしまうメロディを担当するパートなのです。
そのくせ役割はとても重要。
音程が少しずれると世にも奇妙な和音に変貌させてしまうリスクを背負っていますし、なんなら長調のはずの曲が短調に……なんて恐ろしいことも起きたりします。
正しい音程を鳴らしていたらその存在に誰も気づかないくせに音程が狂ったら即ばれするそんなパートなのです。
料理の献立にも似たような役割を担う皿があります。
それは副菜。
主菜は華やかで豪華。
誰もが一番に箸を伸ばしたくなる皿です。
それに対して副菜は「なんだ、おまえそんなところにいたのか」というぞんざいな扱い。
そのくせ、味が狂うと献立全体の調和を乱して食事を台無しにします。
居て当たり前な空気のような1品。
けれど、居ないとなんだか間の抜けた献立になってしまう皿。
名脇役が主役をしっかり支える芝居が観ごたえがあるようにこういった小鉢料理こそ細心の注意を払ってこしらえるべきじゃないかな、なんて思うのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 茄子:1本
- 大根:1cmの輪切り
- サラダ油:18g(大匙1.5)
- 一味唐辛子:少々
[調味料パート]
- めんつゆ:6g(小匙1)
- ポン酢:6g(小匙1)
- 味醂:6g(小匙1)
- かつおだしの素:小匙1/2
- 砂糖:3g(小匙1)
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- 大根はかつら剥きにしておろし金で盛り付ける器にすりおろしておきます。茄子はがくを取って、7mm厚の半月切りにします。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ茄子を加えて油を吸わせながらしんなりするまで約2分炒めます。
- 2.に[調味料パート]を加えて炒りつけながら水気が半分くらいになるまで炒めます。
- 3.を煮汁ごと1.の器に加えてよく和えます。上から一味唐辛子を振ればできあがり。
【一口メモ】
- 生姜とポン酢に大根おろしの風味が利いてさっぱりした味わいが楽しめる小鉢料理です。主菜が肉料理など少し重い献立には特におススメかな。
- 手持ちがあれば千切りにした大葉を加えると清涼感がぐっと増します。
- このレシピの要はかつおだしの素。これがあるのとないのとでは旨味が全然違います。
- 胡麻や刻みのりを加えると風味が変わってまた楽しいですよ。