「倒産セール」
「もうあかん やめます!」
「売りつくし」
なんて札を店頭にぶら下げながらいつまでたってもやめない大阪の靴屋さんが本当に閉店したと数年前ニュースになっていました。
実際には25年くらい閉店セールをやっていたらしい(笑)
客足が遠のいていた飲食店が「●月●日を以て閉店します」なんて告知を出した途端どっと客が押し寄せたなんて話も聞きますのでお客さんというものはつくづく現金なものだなぁと思います。
そんな人たちを相手にするんですから自営業の人もたいへんだわ。
とはいえ『今を逃がすと食べられない』という心理が購買欲をくすぐる強い武器になるのは間違いありませんからその心理を商売に利用しない手はありません。
かくして季節限定商法、期間限定商法が展開されるわけですが少し分析的に見るとこの商法の動機付けは2種類あるように思えます。
ひとつはイベント型。
クリスマス、バレンタイン、節分、ハロウィンなど「年に一度のことだからやっぱりやっておかなきゃ」という心理をあおる方法ですね。
もうひとつは季節型。
「やっぱ旬のものを食べなきゃ」
なんて自分に言い聞かせながらスタバで「花見だんごフラペチーノ」を買ったりするのです。
(って、あそこの企画は旬の食材からずれてる気もするけど(笑))
江戸の昔は別に狙わなくても多くの食品が季節限定でした。
魚も野菜も特定の季節にしか出回らなかったので江戸の町民は旬の料理に舌つづみを打ちながら「もう春だなぁ」とか「いよいよ夏本番か」なんて季節を感じていたことでしょう。
けど養殖、栽培技術が進歩し冷蔵冷凍技術も発達した今、店頭で見かける「春季限定メニュー」はあくまでも「なんちゃって季節限定」なんですよね。
たとえばパスタ専門店の店先で『春季限定メニュー「ホタルイカとトマトのパスタ」』なんてポスターを見かけたとしても「いやホタルイカって年中スーパーで売ってるし」なんて冷めた見方だってできちゃいます。
とはいえ4月頃、産卵を控えた旬のホタルイカは身が肥えて冷凍ものとは一味違います。
「あまりシニカルなことは考えずに素直に令和の春を楽しめばいいんじゃないかな」
なんて自分で自分をなだめつつこんなランチを楽しんでおります。
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- スパゲティ:100~110g
- ホタルイカ:10ぱいくらい
- トマト缶:100g(1/4缶)
- にんにく:ひとかけ
- 鷹の爪:半本
- 玉ねぎ:1/4個
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- 塩:1g
[仕上げパート]
- 粗挽きブラックペッパー:適宜
- ドライバジル:少々
- ドライパセリ:少々
[ゆで汁パート]
- 水:600g(カップ3)
- 塩:6g
【作り方】
- フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ30秒ほど温めます。待っている間ににんにくを粗みじん切りにします。火を止めてにんにくを加え余熱で火を通します。(にんにくが踊らなくなったらちょいちょい弱火にかけて踊り出したら火を止めるを繰り返してください)
- [ゆで汁パート]を鍋に合わせて強火でひと煮立ちさせスパゲティを加えて規定時間-1分茹でます。
- 2.と並行してホタルイカの目を取り鷹の爪とともに1.のフライパンに加えて中火で炒めます。火が通ってきたら腹を押しつぶすようにしてワタを絞り出しよく混ぜます。
- 3.に細切りにした玉ねぎを加えてしんなりするまで炒めます。仕上げに塩1gの半分を加えてさっと混ぜます。
- 4.にトマトと塩の残りを加えて火を加減しながらパスタが茹で上がるまで煮込みます。
- 茹で上がったパスタをざるに揚げて湯を切らずに4.のフライパンに移します。中火でソースを煮詰めながらパスタに絡ませます。
- 6.を皿に盛って[仕上げパート]を振りかければできあがり。
【一口メモ】
- このソースの要はホタルイカのワタ。身をすりつぶすように絞り出して混ぜ込むことでほろりと苦い大人のパスタソースに仕上がります。盛り付けの見栄えは多少悪くなるけれど家で食べる分には気にしない気にしない。美味しいは正義なのです。
- アラビアータ風に鷹の爪を加えてピリ辛にしています。辛いのが苦手な方は抜いてください。鷹の爪は丸ごと投入して煮込むことで辛味成分を抽出していますが小口切りにして加えるのもあり。その場合は工程1.でにんにくと同タイミングで投入してください。
- 仕上げとして盛り付けた上で生食できるせりなどの春野菜をトッピングすればよりいっそう春らしい皿を演出することができますよ。