《冷やし中華始めました》
なんて幟(のぼり)を見かけると「ああ、夏が来たなぁ」なんて昔は思ったものです。
けど不思議なことにあの幟はラーメン屋の軒先ではなく喫茶店の店先でよく見かけた気がするんだよなぁ。
ま、そういったことを含めて昭和の夏の風物詩でした。
近頃は冷やし中華の幟ももちろん見かけるのですがそれとは別に「夏季限定冷やしラーメン」というポップに夏を感じるようになりました。
ラーメン屋さんもいろいろ工夫しているなぁ。
暑くなると冷たい麺類が恋しくなるのは人情──と思っていたのですが麺を冷やして食べる文化は世界的に見ると案外広くないらしい。
というか日本の冷やし麺事情がかなり特殊らしいと最近知りました。
そういえば冷麺の洋食版ともいえる冷製パスタも日本生まれなのだそう。
ミラノでレストランをやっていたイタリア人が日本に来た際にざる蕎麦を食べて感動。
「これをパスタでやってみたい」
と考えて考案したのだとか。
つまりそれまではイタリアにパスタを冷やして食べるという文化はありませんでした。
それどころかせっかく考案された冷製パスタも長らくイタリアでは流行らなかったらしい。
その理由はどうやらイタリア人の並々ならぬパスタ愛にあるようです。
イタリア人にとってパスタは絶妙の加減に茹でてソースを絡めて熱々の状態で食するもの。
せっかく茹でたパスタを冷水で〆るなんてパスタに対する冒とく以外の何物でもないと考えられていた節があります。
ま、僕ら日本人も。
目の前で寿司にケチャップとマスタードをぶっかけて食べられたら
「お前はホットドッグでも食ってろ」
くらいのことは言いたくなるでしょうからお互い様。
国民食とはそういうものなのでしょう。
とはいえ最近はイタリアでも
「食べてみたら意外と美味しい」
という人が増えて冷製パスタも認知され始めているとか。
寿司に例えると
「イベリコ豚やハンバーグが載っててもイケるじゃん」
的な感じかなw
とはいえ冷製パスタといえばソースは今でもトマトベースのドレッシング的なものが定番。
具材はサラダにつかうような生食可能な野菜が中心です。
さすがにこの料理みたいにカルボナーラを冷やしてしまったらドン引きされるかも。
つまり寿司に喩えれば……
さて、なんでしょう。
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(ソースやパスタを冷やす時間は含めていません)-
- スパゲティ:100g
- ベーコン:30g
- 玉ねぎ:30g
- オリーブオイル:8g(小匙2)
- 粉チーズ:適宜
- 粗挽きブラックペッパー:少々
[ソースパート]
- 牛乳:100g(カップ1/2)
- コンソメスープの素(顆粒):3g
- 卵:1個
[茹で汁パート]
- 水:600g(カップ3)
- 塩:6g(小匙1)
【作り方】
- ベーコンは小口切りにします。玉ねぎは粗みじん切りにします。[ソースパート]の卵はよく溶いておきます。
- フライパンにオリーブオイル、ベーコン、玉ねぎを入れて中火にかけ玉ねぎがしんなりするまで炒めます。これに[ソースパート]の卵以外を加えてひと煮立ちさせます。
- 2.に[ソースパート]の卵を加えてすぐに火を止め常にかき混ぜながら余熱でとろみを付けます。このソースをボウルに移して粗熱を取り更に冷蔵庫でしっかり冷やします。 ※とろみが付きにくい場合は再度ごく弱火にかけて火を通します。ゆるい炒り卵のような状態になればOK。
- 鍋に[茹で汁パート]を合わせて強火にかけ沸騰したらスパゲティを加えて規定時間茹でます。ざるに揚げて湯切りをし流水で〆ます。更に氷水に浸けてしっかり冷やします。 ※スパゲティの茹で加減はアルデンテで止めずに規定時間いっぱいまで茹でること。アルデンテの状態で冷水で〆るとそのまま芯が残るので食感が悪くなります。
- 4.のスパゲッティをざるに揚げて水を切り3.のボウルに入れてトングを使ってよく和えます。お皿に盛って粉チーズと粗挽きブラックペッパーを振ればできあがり。
【一口メモ】
- 自分で作っておいて言うのもなんですが意外に普通のカルボナーラ味です。そしてひんやり冷たいので夏場にはありがたい。一口食べてこれはありだろと思っちゃいました。
- 冷製パスタといえばカッペリーニと呼ばれるそうめんのように細いパスタを使うのが定番ですがこの料理はソースを絡めるスタイルなので通常のスパゲティの太さが合うように思います。
- 沸騰した牛乳の余熱で卵に火を通そうとしたのですがちょっと緩すぎました。卵をしっかり常温にもどしておかないといけないかも。再度火にかける時は細心の注意を払ってごく弱火にしてください。火が強いと炒り卵みたいなソースになってしまいます。