僕が初めてピクルスという食べ物を口にしたのはマクドナルドのハンバーガーに挟まったやつで高校生の頃の話だったと思います。
高校生でマクドナルドってまあ普通だなと考えるなかれ。
ときは1970年代。
マクドナルドが産声を上げて間もない時分。
あのお店が街の最先端のファストフードショップだった頃の話です。
友人たちと連れ立って噂のマクドナルドに初入店した時はけっこうドキドキしたなぁ。
とまれ、ごく普通の日本人家庭に育った僕は漬物は食べたことはあるけどピクルスなんてハイカラなものは見たことも聞いたこともなかった。
で、ハンバーガーに挟まっている薄切りのきゅうりの魅力にすっかりハマってしまったのです。
すっぱい!
甘い!
おかずなのにおかずっぽくない!パンにハンバーグを挟むという魅惑のサンドイッチにアクセントを添えるその洋風漬物は明らかに日本の漬物とは別物に感じられました。
長じて僕が社会人になった1980年代の後半になるとピクルスは普通にスーパーマーケットの棚に並ぶようになりました。
けど……高かった。
小さな瓶でも数百円くらいして財布の紐をゆるめるのを躊躇する値段でした。
で、すぐに考えたのはピクルスを自作すること。
きゅうり自体は数本100円くらいで売ってるし自分で漬ければ安くつく。
ところが調べてみると何カ月も漬け込まなければならないらしいことが分かってきたんですね。
その長い年月を想像するだけで一気に制作熱が冷めてしまいました。
爾来、僕の脳内でピクルスは美味しくて大好きなんだけどけっこうハードルの高い食べ物というカテゴリーの棚に収まっていました。
けどね、最近知ったのです。
日本に浅漬けがあるようにピクルスにも漬けて数時間で食べられるタイプのものもあることを。
というか元々僕がめっちゃ時間がかかると思っていたタイプのものは日本で言うと古漬けの部類だったのかもしれません。
ということで近頃はお弁当の箸休めに困ったら手持ちの野菜を酢漬けにしてこんな感じのお手軽ピクルスを即席で作ったりしております。
うん、十分美味しいやん。
【材料】(2人分)
-調理時間:5分-
- 大根:2cm
[漬け汁パート]
- 昆布出汁:15g(大匙1)
- 酢:30g(大匙2)
- 鷹の爪:半本
- 砂糖:6g(小匙2)
- 塩:1g(小匙1/6)
- 粗挽きブラックペッパー:ひと振り
【作り方】
- 大根は縦半分に切って更に横四等分の5mm厚にします。これを更に5mm厚の拍子木に切ります。鷹の爪は種を抜いて小口切りにします。
- ビニール袋に大根を入れこれに[漬け汁パート]を加えて空気を抜いて口を縛ります。これをよくもんで冷蔵庫で2、3時間漬け込めばできあがり。
【一口メモ】
- 甘酸っぱい清涼感がたまりません。ちょっと重いおかずの献立に合わせると良い箸休めになりますよ。
- 味の要は砂糖の分量。少し多めにするのが美味しく作るコツですが好みに差があるので味を見ながら少しずつ加えてください。
- 風味、特に香りの要は酢。ちょっと高めの黒酢などを使うと味のグレードはぐっと跳ね上がります。酢の代わりに柑橘系の果汁、レモン、ライム、オレンジなどを使うとテイストががらりと変わってまた楽しいですよ。
- 合わせるおかずが中華やエスニックの場合はクミンやシナモンなど香りの強いスパイスをひと振りしてみてください。ちょっとエキゾチックなお漬物に様変わりします。
- 冷蔵庫で保存すれば1カ月くらいは保ちます。ちょっと多めに作ってストックしておくと常備菜として重宝しますよ。