押井守監督の作品にはしばしば立喰師(たちぐいし)と呼ばれる架空の職業をなりわいとした人物が登場します。

立喰師は監督が「引退したらやってみたい職業」として妄想しているものだそうで、ざっくり言うと──
飲食店で話術や奇行など様々な手段を用いて店員を圧倒し、その隙に飲食代金を支払わずに店を出る者のこと──だそうです。
要するに無銭飲食じゃんとツッコみたくなりますが「その手段には恫喝や暴力、力づくの逃走を使わない」という美学を持っているところで一線を画しているとか。

……、でも結局、無銭飲食じゃんw
その開祖は江戸時代に屋台で蕎麦の勘定を払う段になって「今何時だい?」と店主に訊ねて気を逸らし払いをごまかした『時蕎麦屋せいえもん』だと言われています。
彼の話芸は落語の「時そば」に取り入れられ長く後世に語られることに……
ってどんだけ妄想を広げるねんw

けど、立喰師というのはあながち押井監督の妄想とばかりも言えないのです。
なぜなら──ほかならぬ僕も立喰師の系譜を受け継ぐ者ですから。
なんて書くと中二病っぽく聞こえますが実際僕は店の払いをせずに済ませたことが一度ならずあります。
って、もちろん無銭飲食ではなくたまたま隣に座った見知らぬ客と意気投合して気を良くしたその方が
「まあまあまあ、ここは俺に持たせて」
と言ってくれて押し問答の末、
「それではご馳走になります」
と僕が厚意をお受けしたなんてことがなぜかちょくちょくあったのです。

別に物欲しそうな顔をしていたわけではないと思うのですがどうもふわふわとカウンターの隅に浮いているクラゲのような雰囲気がある種の酒飲みな方々を刺激するのかもなんて想像しております。
で、そんなことが続くと「もしかして世にいう立喰師というのはこんな感じなのかもしれない」なんて思ったりして。
ただそういう状況になるためには相応に場が温まる必要がありますのでこのうどんのように一杯啜って席を立つなんて店ではまずそういうことは起きません。
やはり飲み屋のように長っ尻が利く店の方が向くようです。

ま、場は温まらずともこのうどんで胃と体は十分温まるのですが。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- うどん:1玉
- 豚こま肉:80g?100g
- 白菜:100g(約葉1枚)
- 卵:1個
- ごま油:6g(大匙1/2)
- 刻み葱:適宜
- 水溶き片栗粉:9g(大匙1)分
[つゆパート]
- 鰹出汁:250g(250ml)
- 蕎麦の返し:大匙2またはめんつゆ(水250mlに対する規定量)
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- うどんを茹でる湯(分量外)を沸かしてうどんを規定時間?3分茹でます。
- 1.をやっている間に豚肉は食べやすい大きさに切ります。白菜は1.5cm角程度のざく切りにします。うどんを盛る丼に卵を割り入れて
- 小鍋にごま油を入れて中火にかけます。これに豚肉を加えて色が変わり始めるまで炒めます。白菜を加えて更に1分炒めます。
- 3.に[つゆパート]を加えてひと煮立ちさせます。1.が茹で上がったらざるに揚げてそのまま〆ずにこの小鍋に加えて中火で3分煮込みます。
- 4.に溶き卵を加えてそのままいじらずに煮ます。卵が浮いてきたらさっとかき混ぜてできあがり。
【一口メモ】
- 水溶き片栗粉でとろみが付いて冷めにくくなったスープは生姜がよく利いてポカポカ体が温まります。冬には特におススメの一杯ですよ。
- この料理の段取りポイントはうどんの茹で上がりまでに残りの工程を済ませること。要領よくこしらえればうどんを茹でる時間プラスアルファで完成させることができます。
- ポイントは途中でうどんを合流させていっしょに煮込むこと。麺に味が良く沁みて旨さもひとしおです。

