職場の同僚に「おっさん」を絵にかいたような人がいます。
夜は飲み屋のカウンター。
週末は競馬、パチンコ、麻雀三昧。
ときどきゴルフ。
今はやめたみたいだけど以前は煙草も吸っていたな。
長らく単身赴任生活をしているのですがキッチンに立ったことはほとんどなく三食ともに外食か中食(スーパーなどでお惣菜を買って帰る)という男子厨房に入るべからずを体現しているような人ですw
その彼が「最近、料理に目覚めてん」とのたまう。
で、「手始めに野菜炒めが作れるようになった」と自慢するのです。
せっかくの向上心をくじくのは本意ではないので口に出しては言わなかったけど心の中で一言。
「なんでそんな難易度の高い料理から挑戦する?」
野菜炒めは野菜を切って炒めて調味料を絡めたら完成──なんて思われがちなのかもしれませんがめちゃ奥の深い料理です。
使う野菜によって火の通り方はバラバラ。
例えば人参などは硬くて火が通りにくいので軽くレンチンか下茹でしておくべきです。
ピーマンなどは生でも食べられるくらいで火の通りも早い。
早い段階で投入するとせっかくのシャキシャキ感が損なわれてしんなりした残念な感じになっちゃいます。
故に料理の仕上げに放り込むようにする。
更に上級編的なことを言えばちゃんとした中国料理のお店に行くと野菜炒めは舌がやけどしそうなくらい熱々で出てきます。
あれは油通しという技法を使っていて野菜を炒める前に高温の油をくぐらせているのです。
野菜炒めを作るには材料ごとに適切な火の通し方を知っておく必要があるんですよね。
同様に筑前煮もひとつひとつの材料に適切な下ごしらえをしてから煮こむので実は面倒な料理だったりします。
ちらし寿司も椎茸の煮物、人参の甘煮、錦糸卵、鯛のでんぶ、酢蓮根などそれぞれ1品のおかずを作るのと同じ手間をかけた材料が合わさった手間暇かかる料理だったりします。
世の中には簡単そうに見えていざ作ってみるととても面倒な料理があります。
ま、肉じゃがのように難しそうに見えて実は簡単な煮物もあるのですがw
冷やしラーメンも簡単そうに見えて難しい料理のひとつです。
「普通にラーメンを作って氷をぶち込んどきゃ良くね?」というなかれ。
そんなことをしたら白く固まった脂が浮きまくる絶妙に気持ちの悪い麺料理になってしまいます。
そう。
動物性の油脂は低温では固まってしまうのです。
なので本場山形の冷やしラーメンは牛肉で作ったスープを冷まして固まった脂を丁寧に取り除きそれに植物性油を加えてコクを出しているのだとか。
店で出せるようになるまでにはいろいろ苦労があったんだろうな。
過日、本格的な冷やしラーメンが食べたくなって挑戦。
山形方式とは別のアプローチで出汁を植物性オンリーの精進出汁で仕立てまして植物精油でコクを出すという方式で作ったのですが……めんどくさかったw
【材料】(1人分)
-調理時間:20分(冷蔵庫で冷やす時間は含めていません)-
- 棒ラーメン(生ラーメンでもOK):1食分
- 卵:1個
- ローハムスライス:1枚
- 刻み海苔:適宜
- 白ごま:適宜
- 椎茸:1本
- 氷:100g
[スープパート]
- 水:150g(カップ3/4)
- 昆布出汁の素:小匙1/2
- 蕎麦の本返し:大匙2
- ごま油:4g(小匙1)
- 酢:15g(大匙1)
- レモン果汁:5g(小匙1)
- ラー油:数滴
【作り方】
- 椎茸は軸を切りスライスします。軸も石突を落としてスライスします。これと[スープパート]の水を小鍋に合わせて強火で1分20秒温めます。蓋を取り火をごく弱火にして10分煮こみます。 ※椎茸は70~80度で旨味成分が最も抽出できます。なのでまず強火で70度近くまで加熱してそこから時間をかけて弱火で80度までじわじわ温度を上げていくと濃い出汁が挽けます。
- 1.と並行して卵を水から茹でます。沸騰後中火で7分茹でて半熟卵にします。これを冷水に浸けて冷めたら殻を剥いておきます。
- 1.の工程が終わったら鍋の蓋をしてひと煮立ちさせて[スープパート]の残りを加えて火を止めてよく混ぜます。これを丼に移して氷を加えて急冷します。氷が融けて常温になったら2.の卵を入れて冷蔵庫で冷やします。
- 棒ラーメンを規定時間より1分長めに茹でてざるに揚げ冷水で〆ます。更にボウルに氷水を張ってしっかり冷やします。これをざるに揚げて水切りをします。3.の丼を取り出してこの麺を加え再び冷蔵庫で冷やします。 ※麺を[スープパート]に浸けることで味をしっかり染ませることができます。漬け込む時間はお好みで。時間に余裕があれば(早めに調理にかかれたら)1時間くらい浸けるのがおススメです。
- 丼を冷蔵庫から出します。丼の中の卵を取り出して半分に切って盛り付けます。更に短冊状に切ったハム、刻み海苔をトッピングし白ごまを散らせばできあがり。
【一口メモ】
- スープはオール植物性にしてあるので冷やしても脂が固まりません。しっかり出汁は挽けていて蕎麦の返しにレモンのさっぱり風味も良いチョイスでした。
- スープと真逆にトッピングはハムや卵など動物性のものをチョイスしてバランスを取ってみました。
- 最初から温度が低いので麺にスープが絡みにくいのが課題。時間をかけて浸けこむか例えば葛などでスープにとろみを付けておくかかな。
- 半分くらい食べたところでノンオイルの青じそドレッシングを加えたのですが風味が変わって良い味変になりました。熱々のラーメンと違ってサラダ感覚で楽しめる料理ですね。