かつて、デパートの大食堂は子供たちにとって特別な場所でした。
ちょっと、よそ行きの服を着こんで、不慣れな椅子に座って、メニューを開く──それだけで、ちょっと大人になった気分が味わえたものです。
食堂のメニューには、普段、家では絶対食べられない料理が並んでいて、中には聞いたことすらない料理名まであったりします。
いつまでも選べないでいて、お父さんに『ええかげんにしろ』と叱られた──なんて経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、迷って当たり前です。
ここで食べておかなかったら次はいつ食べられるかわからない料理が多すぎるんですよ。
デパートの大食堂に限らず、昔は『お店でしか食べられない料理』がたくさんありました。
例えばかき氷。
映画「三丁目の夕日」でも描かれていましたが、そもそも、ほとんどのお家に冷蔵庫がありませんでしたからね。
氷自体買ってくるものだったのです。
それが冷蔵庫が普及して、家庭用のかき氷機が売られるようになり、シロップまで手軽に手に入るようになって、かき氷はいつでも食べたい時に家で食べられるものになってしまいました。
ナポリタン、オムライス、ラーメンなどなど。
かつては洋食屋か中華飯店の専売特許だった料理も料理本が出回り、便利な道具や調味料が出回って家で簡単に作れるようになりました。
ラーメンに至ってはカップにお湯を注いで3分待てば、有名店と同じ味のものが具入りで食べられるようになっちゃったんですから、すごい時代になったものです。
けど、その分、なんだかありがたみが薄れた気がするのはちょっと寂しいかな。
例えば焼肉は、今でも贅沢な料理ではありますが、ホットプレートの登場で簡単に家で楽しめるようになっちゃいました。
「ええっ、また焼肉」
なんて生意気なことを言いだす子供もいるかもしれませんね。
そういう子供を黙らせるには目先を変えるのが一番。
「今夜は焼肉だよ」
と言っておいて、お肉がホルモンしかなかったら、ブーイングが飛び出しそうですが炒飯の具にしてしまったらどうでしょう。
「ホルモン焼き飯なんて、中華飯店に行ったってメニューに載ってないに決まってる。──家でしか食べられない料理なんだよ」
と背中を押してやれば、興味津々になること請け合いです。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- ご飯:1膳分
- 卵:1個
- 焼肉用としてボイルされた牛または豚のホルモン(部位はお好みで):60?70g
- 玉ねぎ:1/4個
- ニラ:数本
- サラダ油:12g(大さじ1)
- 粗挽きブラックペッパー:適宜
[調味料パート]
- (市販の)焼肉のタレ:18g(大さじ1)
- 味噌:6g(小さじ1)
- オイスターソース:6g(小さじ1)
【作り方】
- 卵はよく溶いておきます。ホルモンは薄くスライスします。玉ねぎはみじん切りにします。ニラは根元を落として1cm幅の小口切りにします。[調味料パート]は合わせてよく混ぜておきます。
- 中華鍋かフライパンにサラダ油を入れて強火にかけます。薄く煙が立ち始めたら卵液を流しいれざっとかき混ぜます。これにご飯を加えて卵と絡めながら粒がパラパラになるまで炒めます。一旦、これを器に取ります。
- 2.の中華鍋を強火にかけてホルモン、玉ねぎ、ニラを加え1分炒めます。これに[調味料パート]を鍋肌から流しいれ30秒炒めます。さらに、2.を加えて絡めるようにざっと炒めます。仕上げに粗挽きブラックペッパーを振ってひとまぜすればできあがり。
【一口メモ】
- ホルモン焼きのジャンクな風味がクセになる炒飯です。ホルモンはちょっと苦手という方も薄く切ってあるのであまり気にならないかも。
- 味付けは市販の焼肉のたれに任せれば間違いなし。さらにコクを出すために味噌とオイスターソースをプラスしています。
- ホルモンの代わりに焼肉用のお肉を使って贅沢炒飯にチェンジするのもありです。量的には30?50gもあれば十分ですので、1、2枚を粗みじんに切って使ってください。
- ホルモンは焼肉用に下処理してボイルしたものを使うのがお手軽なのでおすすめです。生のものを使う場合は多めに塩を振って冷蔵庫で30分寝かせて臭み抜きをしてください。これを流水で洗ってから5分茹でれば、下処理完了です。