僕が物心ついた頃、昭和40年代の前半はまだ町中の風景が映画「三丁目の夕日」っぽくって食料品を売っているのは専門店ばかりでした。
専門店というとなんかカッコいいけど要は魚屋さんとか八百屋さんというお店ばかりで魚屋さんでは当然、大根や人参は売っていませんし肉が買いたければ肉屋さんに行くしかありませんでした。
そういった専門店が密集しているエリアを僕らは「市場(いちば)」と呼んでいて買い物がしたければそのエリアに行って店から店へと回る必要がありました。
なんかめんどくさそう──
とも思えますがそれぞれのお店のご主人はさすが専門店だけあって魚のエキスパート、野菜のエキスパートぞろいで商品の目利きから市場価格の動向把握まで任せて安心みたいな貫禄があったのです。
それらの専門店がやがて「そこに行けばなんでも売っている」お店──スーパーマーケットに席巻されていくのですがそれを語ると長くなるのでまた別の機会に。
長じて僕は大学入学と同時に下宿生活を始めて外食をすることが多くなりました。
下宿屋の近くの飲食店は定食屋が多かったなぁ。
1980年代の定食屋は例えていうならスーパーマーケット的ななんでも屋でした。
カレーライスやうどんも食べられるしハンバーグ定食や餃子定食などもある。
和洋中ごちゃ混ぜな上に麺類、丼物なんでもござれという感じのお店が多かったです。
「そこに行けばなんでも食べられる」
という意味ではスーパーマーケット的なのに店の雰囲気はごちゃっとしていてどこか昭和の市場的だったのが面白かったな。
それが──社会人になって元号が平成に変わった頃から街の飲食店にも特定の料理に特化した専門店が登場し始めました。
曰くパスタ専門店、海鮮丼専門店、パンケーキ専門店など次から次へと登場。
ラーメン屋やカレーハウスはそれまでもあったけれどより専門的にある意味、マニアックでニッチに進化していきました。
どうやら食料品店が専門店が何でも屋に凌駕されたのとは逆に飲食店は専門店が何でも屋にとって代わったようですね。
さしづめこんな料理も昭和の定食屋では望むべくもありませんがイマドキの丼物専門店なら普通にメニューに並んでいそうな気がします。
【材料】(1人分)
-調理時間:30分-
- ご飯:1膳分
- 生鮭:1切れ
- 玉ねぎ:1/4個
- 刻み葱:少々
- サラダ油:6g(大匙1/2)
- マヨネーズ:適宜
[調味料パート]
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 濃口?油:9g(大匙1/2)
- 塩、ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 鮭を一口大に切り[調味料パート]と合わせて10分漬け込みます。待っている間に玉ねぎは細切りにします。
- 冷たいフライパンにサラダ油を入れます。1.の鮭を[調味料パート]ごと加えてよく和えます。鮭を皮目を下にして並べごく弱火にかけて10分かけてじんわり焼きます。鮭をひっくり返して更に3分焼きます。これを一旦皿に取ります。
- 2.のフライパンを洗わず玉ねぎを加えて中火にかけしんなりするまで炒めます。
- 丼にご飯を盛り付けその上に玉ねぎを敷き詰めます。更に鮭をトッピングしてマヨネーズを絞り出し刻み葱を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 実はご飯に鮭とマヨネーズというのは最強の相性でめちゃくちゃ旨いのです。騙されたと思ってぜひお試しあれ。
- このレシピは見栄えの良い丼のスタイルにするためちょっと凝った手順にしていますが「めんどくさい!」という方はほぐした焼き鮭とマヨネーズをダイレクトにごはんに加えてがっと混ぜて食べてみてください。混ぜご飯的ですが簡易版の鮭マヨ丼が楽しめます。
- お好みで七味唐辛子や粉山椒を振っても風味が変わって楽しいです。変わったところでは柚子胡椒をプラスするのもありですよ。
- 手持ちがあれば貝割れ大根をあしらいに加えると見栄えが更に良くなります。