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親子焼鳥丼

織田信長は椅子に座ってワインを飲んだ最初の日本人である──なんて記事を読んだことがあります。

如何にも伝統にとらわれない豪放磊落な信長らしいエピソード。

ご本人は

「俺ってそうとうイケてない?」

なんてご満悦だったかもなんて考えちゃいます……が。

実は信長は下戸だったらしい。

なのでワインを最初に飲んだ日本人という話はどうも眉唾っぽいんですよね。

とはいえ当時、宣教師がワインを日本に持ち込んだのは史実のようなので誰か最初に飲んだ人がいたのは事実でしょう。

それは誰か──

を語ると話が長くなってしまうのでまた別の機会にしますが間違いがないのはその辺を歩いていた村人Aなどではなく宣教師に謁見できる立場の人物でしかも彼がワインを献上するに値する利(見返り)が期待できる人物であったことは間違いありません。

かように今では当たり前にスーパーで売られているような商品が一部の特権階級しか口にすることができなかった時代がありました。

例えば織田信長は甘党で金平糖やバナナを食べたことがあったそうですが同時代でそんなものを食べられる人はほとんどいなかったでしょう。

江戸時代なら新米が食べられるのは武士の特権で街に流通しているのは古米ばかりだったとか。

日本酒も澄んだ清酒が飲めるのは武士だけ。

町人が飲んでいたのはどぶろくと呼ばれる濁り酒でした。

件のワインも将軍への献上品でしたから飲めたのは将軍と一部側近&毒見役だけでした。

それを考えると今の時代はお金さえ払えば誰でもどんな料理でも食べることができます。

たとえ高級料理でも食べたければ毎月の生活費を少しずつ切り詰めていけばすぐに貯まるくらいの価格帯。

そのお金を持っていけば基本的にお店に拒否されることはありません(ま、会員制のお店とかは別ですが)。

そして庶民だから倍の料金を払わないといけないとかそういうこともなく誰が注文しても同じ値段で料理が供されます。

僕らにとっては当たり前のことですがこれってすっごく良い時代に生まれたってことなんだよなぁと改めて思います。

江戸は日本橋人形町に『玉ひで』という老舗鶏料理店がありました。

創業は1760年。

この店も鶏肉料理を供していたのは特定の上客のみ。

それ以外に武家屋敷に呼ばれて鶏料理を供することがあったとか。

それから130年ほど時代は下って1891年(明治24年)五代目が店を取り仕切る時代になるとさすがに誰でも入ることができる軍鶏鍋屋に変わっていたらしい。

ある時、常連客が軍鶏鍋の残りに溶き卵を加えて卵とじにしたものをご飯にすくって食べているのを店主が見かけました。

これに着想を得て考案されたのが──親子丼の始まりだったとか(親子丼の起源については諸説あるのでそのうちのひとつですが)。

江戸の昔だったらその親子丼も一部の上級武士だけが独占していたかもしれません。

けど文明開化した明治の代。

親子丼は広く知られるようになり誰もが気軽に食べられる丼料理となりました。

とあるランチタイム。

件の親子丼の鶏肉を焼き鳥風にアレンジしたやつを食べてみたいなと思ってこんな料理を試作してみました。

なんだかんだ理不尽なことも多い世の中ではありますが皿の前では誰もが平等。

その点に関してはホント良い時代に生まれたなぁと感じます。

【材料】(1人分) 

調理時間:50分-

  • ご飯:1膳分
  • 鶏もも肉:150g
  • 白ネギ:半本
  • 焼き肉のタレ(漬け込み用):15g
  • 焼き肉のタレ(仕上げ用):9g
  • 卵黄:1個分
  • 大葉(千切り):1枚
  • 白ごま:適宜

[ご飯の味付けパート]

  • 卵白:1個分
  • 鶏がらスープの素:小匙1/2
  • 梅干し:1個
  • 味醂:6g(小匙1)

【作り方】

  1. 鶏もも肉は一口大に切ります。白ネギは2~3cmのぶつ切りにします。冷たいフライパンに鶏肉と白ネギを重ならないように並べ焼き肉のタレ(漬け込み用)をかけてよくまぶします。そのまま30分放置して漬け込みます。
  2. 1.のフライパンをごく弱火にかけ7~8分いじらずに焼きます。鶏肉と白ネギをひっくり返して更に5分焼きます。
  3. 2.をやっている間に卵を卵黄と卵白に分け卵白は丼に入れます。[ご飯の味付けパート]の梅干しの梅肉をそいで包丁で細かくたたきます。この梅肉と[ご飯の味付けパート]の残りを卵白の丼に加えて泡立て器で30秒ほどよく混ぜます。これにご飯を加えてわしわしと混ぜ込みます。
  4. 2.のフライパンに焼き肉のタレ(仕上げ用)を加えて中火にし、タレを絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めます。これを3.の丼にトッピングし中央をくぼませて卵黄を載せます。白ごまを散らして千切りの大葉をちょんと載せればできあがり。

【一口メモ】

  • 弱火で時間をかけてじんわり火を通すと鶏肉の表面がカリカリになって炭火焼風になります。焼き肉のタレの濃い味ともマッチ。そして卵白を含んだ梅風味のご飯がさっぱりしていて鶏肉の濃い味をリセットしてくれる。肉→ご飯→肉→ご飯の無限ループを堪能できますよ。
  • 丼物のレシピを考える時はトッピングとご飯を別々で考えるのではなく一椀で完結する味にするのがセオリーです。まずトッピングの味をイメージしてそれを支えるご飯をどうするか考えてみましょう。トッピングが濃い味付けなのにご飯までガーリックライスのようなものを持って来てしまうと味が喧嘩してしまいます。
  • タレの味付けは調味料をイチから調合しても良いのですが市販の焼き肉のタレはよくできているのでそれを使うのがお手軽でおススメ。これで十分美味しいじゃんと思ってしまいます。

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