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さんまの蒲焼き丼

新入社員が電話を取ってくれない──そんな嘆きをSNSでちょくちょく見かけます。

当の新入社員にしてみれば「電話は手慣れた先輩に取ってほしい」と考えているみたいですね。

「いや、それはむしろ新人の仕事だろ。四の五の言ってないで取れよ」、「今取らなくてどうする。2、3年すればお前が、その『先輩』になるんだぞ」

なんてコメントが立て続いているのを見ると、概ね新入社員を批判する声が多いみたい。

かくいう昭和生まれの僕も「電話を取ること含めて給料もらっているんでしょ」と冷たく言ってしまいそうです。

けどね、批判するだけでは何も解決しないとも思うのです。

ちょっと想像力を膨らませてなぜ新入社員が電話を取りたがらないか考えてみましょう。

2026年に新社会人になった世代が生まれたのは2000年代半ば、物心ついた頃には携帯電話が身近にあった『携帯ネイティブ』な子供たちです。

物心ついた頃には家に固定電話がなくなっていた人も多いでしょうし、社会人になるまで「鳴っている電話を取る」という昭和世代にとっては当たり前すぎる経験が希薄なまま育ったんじゃないかな。

僕らだってもし100年前にタイムスリップして「おい若造、そこの薪を割っとけ」と鉈を渡されたら困惑するでしょう。

これ、どうやって使うんだ? ってね。

今の新入社員に必要なのは電話応対のマニュアルと電話を取る練習なのかもしれません。

僕らは常日頃、物事を推し量る時つい令和の常識(物差し)で計ろうとしがちです。

けど、電話を取らない新入社員同様、その『もの』が生まれた時代の常識を理解していないと見えてこないものも往々にしてあると思います。

例えばうちの長女はよく

「蒲焼き好きな人ってタレが好きなだけじゃない。だったら魚は何も高いうなぎじゃなくて、さんまで十分」なんて申します。

けどね、それはやっぱり令和の常識ならではの意見で、うなぎの蒲焼きが誕生した江戸時代の常識で見ればうなぎと蒲焼きのタレには必然性があったようなのです。

ひとつには関東平野が湿地帯でうなぎがよく獲れたということがあります。

反面、さんまやいわしは下魚と呼ばれて、食べる習慣がそもそもあまり根付いていなかったみたい。

けど、なにより大きな理由のひとつは令和の今なら安価に手に入る砂糖がべらぼうに高かったこと。

なので誕生当初のうなぎの蒲焼きのタレは味醂などで甘みを付けていました。

実はこっちの方が上品ですっきりとした味わいなのですが、青魚ではコクが足りず物足りない味になったと思われます。

逆に脂ののった鰻はこのタレとベストマッチ。

寿司、天ぷらと並ぶ大人気グルメに昇格していったようですね。

幸い令和の今は砂糖をふんだんに使ったタレが作れますから娘の言う通り、魚はうなぎである必要はなく、さんまやいわしでも良いと僕も思います。

過日、安いさんまが手に入ったので蒲焼き丼を作ってみることにしました。

けど、たまには古式ゆかしい江戸風の味醂を使ったタレで味わいたい──なんて思いまして、令和ならではの新常識、安価に手に入るサラダ油を少し多めに使ってコクを強化してみました。

【材料】(1人分) 

調理時間:12分-

  • ご飯:1膳分
  • さんま:1尾
  • 強力粉:適宜
  • 塩:少々
  • サラダ油:6g(大さじ1/2)
  • 粉山椒:適宜
  • 刻み葱:少々

[調味料パート]

  • 濃口醤油:18g(大さじ1)
  • 酒:15g(大さじ1)
  • 味醂:36g(大さじ2)
  • おろし生姜:チューブ1cm分

【作り方】

  1. さんまは頭を落として三枚におろします。ワタを取って、流水で洗い、キッチンペーパーで水気をふき取ります。これに塩を軽く振って茶こしを使って強力粉を表裏ともに均等に振りかけます。
  2. フライパンにサラダ油を入れて中火にかけます。これにさんまを皮目を下にして重ならないように並べ、そのままいじらずに1分半焼きます。ひっくり返して1分焼いたら一旦皿に取ります。焼き上がりを待っている間に丼にご飯を盛っておきます。
  3. 2.のフライパンに[調味料パート]を合わせて中火にかけます。[調味料パート]が煮立って大きな泡が立ち始めたら、さんまを戻して両面に調味料を絡めながら焼きます。徐々に火加減を弱めながら水気がなくなって煮詰まれば火を止めます。
  4. 2.で用意した丼に3.を載せ、粉山椒を撫でる程度に振りかけて刻み葱を散らせばできあがり。

【一口メモ】

  • この料理、もちろん、蒲焼き缶を温めてご飯に載せても作れるのですが……。生さんまを使うとレベチ! 小麦粉をはたいた表面はパリッとして中はジューシー。何より砂糖を1グラムも使ってないないのでベタベタ甘くないのが良き。味醂の上品な甘味が至福です。
  • 砂糖が高価だった江戸時代に誕生した鰻丼は、タレに甘みを持たせるために味醂を使っていました。砂糖よりすっきりとした味わいのそのタレが脂ののった鰻とベストマッチだったのですが、さんまなどの青魚ではちょっと物足りない。そこで、このレシピではサラダ油を多めにしてコクを補強しています。
  • サラダ油の代わりにオリーブオイルまたはバターを6g(大さじ1/2)使うと洋風寄りの丼になります。風味が変わって楽しいですよ。
  • 魚をソテーする際にまぶす小麦粉は薄力粉より強力粉がおすすめ、焼き上がりがパリッと仕上がります。手持ちがあればぜひどうぞ。

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