今では仙台名物の定番「牛タン」ですが1980年頃までは今とはだいぶスタイルが違って飲み屋のつまみと認知されていたようです。
分厚い牛タンを炭火で炙ってよく冷えたビールで一杯。
なんてのが酒呑みの定番だったとか。
美味しそうだけどちょっとむさくるしいイメージもありますね。
当然、女性ウケはあまり良くなく……
というか当時は飲み屋の暖簾を女性がくぐるということ自体まだ珍しかったので長らく牛タンは男飯のイメージが強かったようです。
「牛タンの認知度を上げるためにも女性ウケするメニューは作れないだろうか」
と考えた方がいらっしゃったようで考案されたのが薄めに切った牛タンの炙りと麦とろ──麦飯にすりおろした山芋をかけたご飯──を合わせて定食にする献立でした。
これがヘルシー志向に敏感な女性の琴線に触れたようで牛タンと言えば飲み屋のつまみというイメージは昼に食べるちょっとヘルシーな定食に塗り替えられていきました。
当時、牛タンは普通の焼き肉用の部位よりずっと安くて1kg1000円くらい。
今では夢のような価格ですがそのチープさも人気の後押しをしたようです。
ということで、だったらいっそとろろご飯と焼き肉を同じ丼に合わせた料理があっても良いじゃないかと思いこんな料理を作ってみました。
今では牛タンは良いお値段のする高級部位になっちゃっていますのでお手軽に豚バラ肉を使っています。
【材料】(1人分)
-調理時間:8分-
- ご飯:1膳分
- 豚バラスライス:150g
- サラダ油:4g(小匙1)
- 山芋:3cm
- 刻み葱:少々
[豚肉の下味パート]
- 塩:少々
- ブラックペッパー:少々
- 片栗粉:適宜
- [調味料パート] 酢:15g(大匙1)
- 濃口醤油:9g(大匙1/2)
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 味醂:9g(大匙1/2)
- はちみつ:3.5g(小匙1/2)
- おろしにんにく:ひとかけ分
【作り方】
- 丼にご飯を盛り付けます。豚肉は食べやすい大きさに切って[豚肉の下味パート]をまぶします。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ豚肉を加えて色が変わるまで焼きます。これに[調味料パート]を加えて弱めの中火にし、絡めながら煮詰めます。
- 2.の煮詰める工程に入ったら山芋の皮を剥きすりおろしながらご飯にかけます。2.の水気がほぼなくなったらとろろに添えるように肉を盛り付け刻み葱を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- ワシワシと豪快に混ぜながら戴いてください。甘辛い味付けの肉と淡白なとろろが口の中で融合してとっても幸せな気分になれます。
- このレシピの段取りポイントは山芋をすりおろすタイミング。肉を[調味料パート]で煮詰めるとけっこう水分が出て水気がほぼなくなるまで2、3分かかります。この時間を利用して手早く山芋をすりおろせば短時間でこしらえることができますよ。
- 手持ちがあれば刻み葱のかわりにカイワレ大根か細切りの大葉をトッピングすると清涼感が増してより美味しく戴けます。
- この料理の原型は牛タンに麦とろです。ちょっと高いけど焼き肉用の牛タンスライスを使えば更に贅沢な一杯にグレードアップできます。