お弁当屋さんチェーンの草分けであるほっかほっか亭が開業したのが1976年(昭和51年)だそうです。
第一次オイルショックの余波で高度成長期に陰りが見え始めた頃、安くてボリュームたっぷり、メニューの種類も豊富なお弁当屋さんは時代のニーズにマッチしていたような気がするな。
そんなお弁当チェーンの人気ランキングで常にトップ3くらいに入るお弁当と言えば──言わずと知れた「のり弁当」。
ご飯に味付きの板海苔を敷き詰めたスタイルのお弁当です。
おかずは魚フライと竹輪の磯部揚げが定番。
そして何より安い。
ちょっと調べてみたのですが2013年の消費税8%増税くらいまでは百円玉3枚でお釣りがくる価格設定だった模様。
つい10年前くらいまで200円台のお弁当が売られていたというのはなかなか凄いことだと思います。
僕ものり弁当はけっこう好きなのですがひとつ不満がありました。
磯の香りがして風味はとても良いのだけど……
海苔がふにゃふにゃにふやけている。
コンビニのおにぎりなんかはご飯と海苔の間にシートを噛ませて食べる時に引き抜く方式にしてあるのでパリっパリの海苔が楽しめるのが魅力なのですがのり弁当はそこのところが残念な感じ。
かといって間にシートを噛ませると作る手間もかかるし、食べる時もそのシートを引き抜く手間がいる。
何よりそれでせっかくの低価格弁当のコストを上げてしまったら元も子もないですよね。
なら逆の発想をしたらどうだろうとふと気づきました。
海苔がふにゃふにゃでも気にならないスタイルにすれば良い。
例えばご飯の友の定番「海苔の佃煮」なんてふにゃふにゃどころかドロドロと言っても過言ではないですがその食感が当たり前になっていて気にならないし、ご飯に良く混ざるので味が均等に馴染む。
もしかして海苔弁の進化系はパリパリの板海苔を目指すのではなく海苔の佃煮系なのでは? と思い至りました。
海苔をドロドロに溶かすのであれば米を炊く段階で海苔を加えて炊き込みご飯のスタイルにしてやれば良い。
ついでに日の丸弁当の進化系として梅干しも炊き込んじゃえ──なんて考えて辿り着いたのがこの具なしの炊き込みご飯なのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:70分-
- 米:1合
- 水:適宜
- 味付海苔:6枚くらい
- 梅干し:1個
[調味料パート]
- 白だし:大匙1
- 酒:10g(小匙2)
【作り方】
- 米は普通に研いで30分、水に浸けておきます。
- 1.をざるに揚げて水気を切ります。これを炊飯器に入れ[調味料パート]を加えてざっくり混ぜます。更に目盛まで水を加えて上に味付海苔と梅干を載せます。こんな感じ。
【一口メモ】
- 海苔の風味が満載の炊き込みご飯になりました。梅の清涼感もじわっと米に沁みています。具なしなのに何なんだこの満足感は。「すげぇ」の一言に尽きます。
- 食べる時に山葵を載せても美味しそう。あとおかわりをしたらぜひお茶漬けとして楽しんでみてください。風味が変わって楽しいですよ。味が薄いと感じたら白だしをちょい足ししてください。
- 針生姜を一緒に炊き込むと更に清涼感マシマシになって上品な1杯に仕上がります。生姜の手持ちがなければお寿司などにおまけで付いているガリを加えるという裏技もあります。
- 冷めても美味しいのでお弁当のご飯としてもおススメです。