腹いっぱい食べたい。
それは長らく人類の夢でした。
すっかり当たり前になって忘れがちですが僕らがその夢をようやく叶えた昭和30年代からまだ60年しか経っていないんですよね。
それまで僕らのご先祖様にとって毎日腹いっぱい食べるということは単なる憧れでした。
それでもその夢に近づくために日々の食事の量をかさます工夫が凝らされました。
その一つの答えがお粥だったんじゃないでしょうか。
ま、かさが増すだけで実は大半が水なのですぐにお腹が空くのですが。
お粥には硬くなったご飯を柔らかくするという効果もありました。
炊飯器の保温モードや電子レンジが登場するまで硬くなった冷や飯を食べるというのが日常だったのでお粥は好もしい食べ物だったんじゃないかなと想像します。
芥川龍之介の「芋粥」に芋の入ったお粥を腹いっぱい食べたいと夢想する貴族が登場しますが案外本当に粥好きの人はいたのかもしれません。
21世紀の今、お粥は病人食のイメージが強くて日常的に食べている人はたぶん少数派です。
けど、毎日なら飽きちゃいますがたまにはこういう料理も目先が変わって楽しいじゃんと僕は思ったりするのです。
【材料】(2人分)
-調理時間:30分-
- 米:1/2合
- 水:800g(カップ4)
- 卵:1個
- 豚バラスライス:50~70g
- エリンギ:1本
- ごま油:少々
- 刻みネギ:適宜
- にんにく:ひとかけ
- 塩:3g(小匙1/2)
- ブラックペッパー:少々
【作り方】
- 米はザルに入れて流水でざっと洗います。豚肉、エリンギは食べ易い大きさに切ります。にんにくはみじん切りにします。 ※米を水でふやかす必要はありません。
- 鍋(できれば土鍋)にごま油とにんにくを入れて中火にかけます。香りが立ってきたら豚肉、エリンギを加えて肉の色が変わるまで炒めます。更に米を加えてさっと炒めます。
- 2.に水、塩、ブラックペッパーを加えて蓋をしてひと煮立ちさせます。火を弱めて20分煮込みます。待っている間に卵を溶いておきます。
- 3.に卵を加えてざっと混ぜネギを散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 無限に食べられそうな錯覚に陥る料理です。実は腹持ちはあまり良くないのですが長く食べられるので味は十分堪能できます。
- 器によそうのが一般的ですが一人で食べる場合は土鍋から直に食べるのもあり。熱々をふうふう言いながら食べるのは真冬のご馳走です。
- お好みで醤油を少し垂らすと風味が良くなります。塩の代わりに味噌(12g:小匙2くらい)で味付けしても楽しいですよ。
- 具材は自由自在。冷蔵庫のありあわせを一緒に煮ちゃいましょう。