インターネット黎明期の1990年代、ネットのチャットルームでマジシャンの方と知り合いになって、いろいろおしゃべりしたことがありました。
って、"チャットルーム"って懐かしい響きだなぁ(笑)。
彼曰く、マジシャンには不文律があって、絶対にマジックの種を人には教えないというルールを厳守しているのだそうです。

そりゃ飯の種を明かしたら商売に支障を来すだろうし、そういうものだろうなと思ったら「いや、それもそうなんだけど」と言われました。
種を教えない一番の理由は──間違いなく「なんだつまんない」と言われてしまうからだそうです。
「近代奇術の父」と呼ばれる、フランスのロベール・ウーダンはこんな名言を残しています。
『マジシャンは魔法使いを演じる役者である』

重要なのはマジックの種ではなく、その種を駆使したマジックを魔法のように見せる演技力にあるというほどの意味合いです。
例えば、数々のハードボイルド映画で主演したハンフリー・ボガードが実は下戸で全然お酒が飲めなかったというのは有名な話です(大好物はコーラだったらしい)。
映画の撮影ではウイスキーの代わりに水やジンジャーエールを使っていたとか。
けど、スクリーンの中の彼は実に男らしくウィスキーをストレートであおるタフガイそのもの。

観客は彼が本当に酒を飲めるかどうかではなく、いかにも旨そうにグラスを煽る演技力に惹かれたのだと思うのです。
マジックも同じこと。
まるで魔法のようにしか見えず、種が見抜けないから惹かれるわけで、わざわざその種を明かすというのは興ざめも良いところでしょう。
話は変わりますが、知人の焼き鳥屋のご主人は変わった経歴の持ち主で理学部数学科で学士号を取って大学を卒業……
と、同時に単身オーストラリアに渡って3年間、焼鳥屋で修行をしたそうです。

数学科で修めた学問とはなんだったのか?
なんでオーストラリアで焼き鳥屋の修行?
いろいろ疑問は湧きますがとにかくオーストラリアに行っていたらしい。

修行している店の近くにある中華飯店が大人気でそこのコックと仲良くなったそうなのですが、ある時、「店の秘密を教えてやろう」と言われて中華飯店の裏口から厨房に案内してくれたことがあったそうです。
彼は銀色の箱を持ち出して蓋を開けて見せてくれました。
中には──真っ白い粉がみっしりと入っていたとか。
「もしかして、怪しい薬だったとか?」

僕がご主人に訊くと彼は笑って
「いや、味の素だったんです。それをたっぷり使うからうちの料理は旨いんだ、と自慢していました」
と答えてくれました。
料理の世界でも種明かしは興ざめを呼ぶことに変わりはないようで。

過日、塩系の炒飯が食べたくてタレのレシピを模索してこのレシピにたどり着きました。
試してみるとめちゃくちゃ美味しくできたのですが、それより驚いたのは材料がとてもシンプルだったこと。
家にあるもので簡単に作れます。
けど、似た配合のタレが商品化されていそうな気もしました。

実はスーパーに並んでいる〇〇の素の大半は家にあるもので簡単に作れちゃったりして──そんな意地悪な考えが脳裏をよぎりましたっけ。
これを使った炒飯を人に振舞ったら作り方を教えてとねだられそう。
けど、レシピを教えるかどうか僕は迷うんじゃないかな。
だって、レシピを見た途端に「なんだつまんない」と言われそうで、怖いですから。
【材料】(炒飯1皿分)
-調理時間:4分-
- 白ネギ:半本(白いところ、緑色のところ半々で)
- 鶏がらスープの素:4g
- ごま油:24g(大さじ2)
- すりごま:9g(大さじ1.5)
【作り方】
- 白ネギは粗みじん切りにします。
- 全ての材料を合わせてよく混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- 炒飯の味付けに良し。肉や野菜の炒め物に良しの万能調味料です。茹で野菜のサラダのドレッシングに使っても美味しいですよ。
- 炒飯にする場合、手持ちがあれば小海老(あみえびでもOK)を具材と一緒に炒めてください。風味がぐっとアップします。
- 似た合わせ調味料が商品化されて売られている気もしますが、実はわざわざ買わなくても、家にあるもので作れちゃうので知っておくと便利ですよ。
- 和食のさしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)以外に常備しておくと料理の幅がぐっと広がる調味料として鶏ガラスープの素、ごま油、オイスターソース、豆板醤(または唐辛子)がおすすめ。これだけあれば、大抵の中華料理がカバーできちゃいます。
- 同じく薬味系であると便利なのが炒りごま、すり胡麻、青ネギの刻んだものの冷凍保存などがおすすめ。チューブものならおろし生姜、おろしニンニク、わさび、柚子胡椒あたりかな。あと、乾物で刻み海苔やかつお節があれば完璧です。

