料理の歴史という観点からするとスープの歴史は焼き物の歴史より浅いそうです。
ま、当たり前の話ですが火を起こしてその上で食材を炙るあぶり焼きは道具がいりませんがスープを作るためには鍋が必要になります。
なのでスープが歴史に登場いただくためにはまず土器が考案されないといけないわけです。
ということでスープが生まれたのは紀元前1500~1600年頃のエジプト時代だそうな。
ただ水と具材を鍋に入れて火にかけておけば勝手にできるスープは見張っていないと焦げてしまう焼き物に比べたらだいぶお手軽な調理法だったのかも。
そのお手軽さがウケたのかスープに限らず煮込み料理全般はその誕生から脈々と受け継がれ改良が重ねられてきました。
旨味があった方が美味しいということでブイヨンが考案され、肉だけでなく野菜も使った方が味が深くなることに気づいた人がコンソメを発明しました。
歴史が下るにつれてスープはより複雑にそして洗練されたものになりました。
料理人はスープを作るためならどんな手間暇も惜しまない……
はずだったのですが。
21世紀の今。
原点回帰というかなんというか。
「こんな面倒なことやってられっか」
という想いが発露して(噴出して?)インスタントスープが爆誕しました。
当節流行りの「タイパ」(タイムパフォーマンス)を勘案すれば時間をかけずに作れるインスタントスープは時流に乗っているといえるでしょう。
それでも人間は欲張りなもの。
「手間がかからない」けど「しっかり旨い」ものを欲しがった結果、インスタント的だけど本格派のスープなんて自己矛盾を起こしそうな料理を模索している。
スープの歴史はイマココらあたりかなと思っています。
で、そんな全部載せ的ニーズにお応えしたスープのひとつの答えとしてこんな1杯を試作してみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 舞茸:1/5株
- 生姜:スライス1枚
- 刻み葱:少々
- ごま油:4g(小匙1)
- ホワイトペッパー:少々
[スープパート]
- 水:200g(カップ1)
- 鶏ガラスープの素:小匙1/2
- オイスターソース:6g(小匙1)
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
【作り方】
- 舞茸は小房に分けます。生姜は千切りにします。
- 小鍋にごま油、生姜を入れて弱火にかけます。香りが立ってきたら舞茸を加えて中火にし、1分炒めます。
- 2.に[スープパート]を加えてひと煮立ちさせます。蓋をして5分煮込みます。仕上げにホワイトペッパーと刻み葱を加えてざっと混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- インスタント的ですがしっかり美味しいスープです。スープベースになる鶏ガラスープの素も昔に比べて進化していて旨味が本格的になっている気がするな。
- 味付けのポイントは醤油とオイスターソース、系統の違う調味料を合わせて味を複雑にすること。それだけで味が深くなります。
- お好みで豆板醤や黒酢を加えて辛味、酸味を強化すれば味に変化が出てまた楽しいですよ。スープを半分飲んでからこれらの調味料を加えて味変を楽しむなんてのもありです。