科学はその原理を知らない人にとっては時に魔法めいて見えることがあります。
遠くの人や景色を映し出すテレビ。
ボタンを押すだけで瞬時に料理を温めてくれる電子レンジ。
火を使わずに煮炊きができるIHヒーターなどなど。
「昔の人が見たら」
なんてたとえ話を引き合いに出すまでもなく現代を生きる僕らの大半もその原理を理解しているわけではないので魔法と言えば魔法的な技術だと思えます。
同様に料理の世界にもその作り方を知らない人にとっては魔法的に思えてしまうものがたくさんあります。
ふわふわと膨らむ綿菓子。
スポンジのような食感のショートケーキ。
冷やして固めるとプルプル震える不思議な食感のゼリー。
泡立てると真っ白い雲のようになる生クリーム。
中にはどうやって作るのか以前に何を使っているかさえわからない食べ物もあります。
たとえばマシュマロ。
駄菓子屋でも売っているチープなお菓子という印象がありますがいざその材料を訊いたらどれくらいの人が答えられるでしょうか。
答えを言ってしまうと主な材料は卵白、ゼラチン、砂糖です。
やったことがある人はすぐピンとくると思いますが卵白って泡立てるとふわふわの雲のようなメレンゲになるんですよね。
それに砂糖を加えてゼラチンで固めたお菓子がマシュマロなんです。
てか、透明でドロッとした卵白を泡立てるとメレンゲになる時点でもう既に魔法的なのですが。
僕も生まれて初めてミルクセーキを作った時にはあまりの変貌に感動した記憶があります。
メレンゲは他にも使いようがいくらもあって例えば硬く泡立てた後、別立てした卵黄と合わせて小麦粉、砂糖などを加えればシフォンケーキになります。
あるいはそのまま焼けばマカロンになったりもします。
そして──砂糖を加えずに煮立っただし汁に加えるとこんな不思議なスープを作ることもできるんですよ。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- 卵白:1個分
- 椎茸:1本
- カニカマ:2本
- 塩:ひとつまみ
- 水:300g(カップ1.5)
- 鶏ガラスープの素:大匙1/2(小匙1/2のスプーン3杯分)
- 水溶き片栗粉:9g+水15g(大匙1)
【作り方】
- 椎茸は軸を切って傘をスライスします。軸も石突を落としてスライスします。
- 小鍋に椎茸、水、鶏がらスープの素を合わせて蓋をし強火で1分半加熱します。蓋を取ってごく弱火にし10分かけてゆっくり加熱します。 ※椎茸は70度~80度で旨味成分が最も抽出しやすくなりますので一気に70度近くまで加熱しそこからゆっくりと温度を上げて出汁を挽きます。
- 2.をやっている間に卵白に塩ひとつまみを加えて角が立つまで泡立てます。
- 2.にほぐしたカニカマを加えて中火にかけひと煮立ちさせます。これに水溶き片栗粉を加えてとろみを付けます。
- 4.に3.を加えて中火にかけながらざっくり混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- ふわふわの綿あめか甘くないマシュマロを食べている気分。まんまマシュマロの材料なので当たり前なのですが。
- スープ自体は茸の旨味を挽きだした本格派。メレンゲはクルトン的に楽しんでもらえると良いかなと思います。
- 椎茸は出汁を挽く材料として使っています。エリンギ、しめじ、なめこなどの茸でも同じ要領で出汁が挽けますので手持ちの材料でチャレンジしてみてください。
- 手持ちがあったのでカニカマを入れてみましたが必須ではありません。冷蔵庫の中身と相談しながらスープの具になりそうなものをチョイスしてください。