昭和22年だそうですから戦後すぐの頃ですね。久留米に「三休」というラーメン屋が開業します。屋号は知人のラーメン屋の生年が明治39年だったことと英語のサンキューから取ったとか。店のウリは豚骨ラーメン。といっても、今と違って豚骨を軽く煮出した透明感のあるスープだったそうです。
ある時、店の仕込みを母親に任せて店主が外出。で、帰ってみたら……スープが強火で炊かれて思い切り煮立っている! で、真っ白に白濁しちゃっている!!うわっ、鍋一杯分のスープをおしゃかにしちゃったかと店主は涙目。けど、そのスープを飲んでみたらめっぽう旨かった。
これが今僕らのよく知っている豚骨ラーメンスープの誕生秘話だそうです。このエピソードで店主の偉大さを感じるのは「ああ、失敗だ、失敗だ」と嘆きながらいきなりスープを捨ててしまわなかったこと。味への探究心とピンチをチャンスに逆転しようとする不屈の闘志を感じます。
過日、昼にうどんを食べようといそいそと支度。で、冷蔵庫に仕舞っている蕎麦の返しを取り出したら……からっぽ。さては、長女が使い切っておったかとしばし呆然。もう水を沸かし始めてるし、だったらどうするよ? と自分に問うことしばし。
こうしてこのうどんがこの世に生まれました。意外に美味しいうどんをすすりながら、ふと思い出したのがこの豚骨ラーメン誕生のエピソードでした。
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- うどん(乾麺):1玉
- 卵:1個
- ベーコンまたはソーセージ:40~50g
- 玉ねぎ:1/8個
- オリーブオイル:少々
- あらびきブラックペッパー:少々
- ドライバジル:少々
[スープパート]
- 味噌:27g
- 鰹だし:200g(1カップ)
- 牛乳:100g(0.5カップ)
- バター:10g
- (お好みで)おろしにんにく:少々
【作り方】
- うどんを茹でる湯(分量外)を茹でて沸騰したらうどんをパッケージに記載されている時間茹でます。
- 1.をやっている間に小鍋に[スープパート]を合わせてひと煮立ちさせます。
- ベーコンまたはソーセージは小口切りにします。玉ねぎは細切りにします。
- 2.の小鍋を一旦どけてフライパンを中火にかけオリーブオイルと3.を合わせてしっかりめに炒めます。
- うどんの茹で上がり2分前になったら小鍋を再びコンロに戻し沸かしておきます。丼に卵を割り入れて泡立て器でよく溶いておきます。
- 卵を常に泡立て器でかき混ぜながら丼に[スープパート]を少しずつ注ぎます。スープと卵が馴染んで白濁したスープができあがります。これに茹で上がったうどんを水で〆ずに釜揚げの状態で投入。4.をトッピングして粗挽きブラックペッパー、ドライバジルを振ればできあがり。
【一口メモ】
- バターのコクと卵のマイルドさがたまりません。うどんなのにパスタのようなテイスト。お昼に家族に出したらインパクト抜群ですよ。
- このレシピの段取りポイントはうどんを茹で終わるまでにそれ以外の工程を全て終わらせること。湯を沸かすのに2分、うどんを茹でるのに10分とすると約12分で仕上げることができます。
- 上手に作るコツは工程6で卵をかき混ぜながら徐々にスープを注ぐこと最初はほんの少し加えて卵とよく混ぜる、次はもう少し多めに加えてまた混ぜるを繰り返して残り半分くらいになったらどっと注いでガッと混ぜませしょう。最初に注ぎ過ぎると卵がもろもろになってきれいな白濁になりません。
- スープを卵に注ぐのにどうしても少し時間がかかるのでその分温度が下がります。なので、うどんは水で〆てから加えるとぬるくなってしまいます。ということで、釜揚げをそのまま投入がオススメです。
- 同じ要領で袋入ラーメンもカルボナ袋入りラーメンにできます。丼に卵と粉末スープを入れてよく混ぜておきましょう。それに麺の茹で汁を徐々に注げばOK。オススメはサッポロ一番塩ラーメンです。