僕もたいがいに食いしん坊ですが僕の妹は僕にも負けず劣らずなやつでして……
ある朝、その彼女から電話がかかってきました。
「えらい早い時間にかけてきたな。どないしたん?」
と訊くと
「昨夜の夢で見たんやけど」
と唐突に夢の話を始める。
「炊き立てのご飯にな焼いたばかりの塩鮭を載せてその上からマヨネーズを絞るねん。それをガっと混ぜて食べてみて。これ絶対美味しいやつやから」
言うだけ言ったら電話を切られた(笑)
なんちゅう夢を見てるねん。
そしてそれをわざわざ朝一番で兄に布教するんかい。
血は争えないものですね。
世の中には食べずとも「それ絶対美味しいやつ」ってわかる食べ物というものがあります。
「ソーダ水になアイスクリームを浮かべた飲み物やねんけど」
と言われたらそれを聞いた人がクリームソーダを食べたことがなかったとしても
「それ絶対美味しいやつ」
っていうと思うのです。
マヨネーズのかかったタコ焼き。
ご飯にかつお節と醤油をかけてがっと混ぜた猫まんま。
チョコレートでコーティングしたバナナ。
どれもこれも食べたことがなくても美味しいとわかる食べ物が世の中にはあふれています。
「ラーメン屋で流行っているつけ麺を蕎麦でやってみたんやけど」
そう言われてこんな料理を出されたらどうでしょう。
「こんなん美味しいに決まっている」
という前に……
これって元々はざる蕎麦が本家なんちゃうんと言いたくなったりして。
食べたことがなくても「それ絶対美味しいやつ」と素直に言うのはなんか悔しい気がするなぁ。
【材料】(1人分)
-調理時間:12分-
- 蕎麦(乾麺):1束または蕎麦(生麺)1玉
- 茄子:1本
- 豚バラスライス:70~80g
- ごま油:12g(大匙1)
[つけ汁パート]
- かつお出汁:100g(カップ1/2)
- 蕎麦の返し:大匙1 または麺つゆ大匙1
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 豆板醤:6g(小匙1)
【作り方】
- 蕎麦を茹でる湯(分量外)を沸かします。湯が沸いたら蕎麦を入れて規定時間茹でます。茹で上がったらざるに揚げて流水で〆ます。 ※冷たい方が良ければ氷水に茹で上がった蕎麦を入れてキンキンに冷やします。
- 1.と並行して茄子はがくを取り縦半分に切って更に1cm幅の斜め切りにします。豚肉は4cm幅に切ります。[つけ汁パート]を合わせてよく混ぜておきます。
- フライパンに茄子とごま油を併せて軽く和えてから中火にかけます。茄子が油を吸ってほぼ油がなくなってきたら豚肉を加えて色が変わるまで炒めます。これに[つけ汁パート]を加えて3分煮ます。 ※冷たい方が良ければ粗熱を取って冷蔵庫で冷やします。
- 蕎麦をざるに揚げて水を切り器に盛ります。深鉢に3.を入れて添えればできあがり。
【一口メモ】
- ラーメンではおなじみのつけ麺を和蕎麦でやってみました。豆板醤とごま油をしっかり利かせて風味満点。夏の暑い日に「冷たいけどガッツリ系の麺類が食べたい!」なんて時に特におススメです。
- このレシピは冷やしを前提にしていますが冬場は蕎麦は流水で〆るだけにして熱々の[つけ汁パート]に浸けて食べればめっちゃ温まりますよ。
- 辛いのが苦手な方は豆板醤を抜いてください。代わりにおろし生姜を加えればさっぱり風味の漬け汁になります。千切りにした茗荷や大葉を浮かべればなお良し。