ありがちな話ですが僕は子供の頃、ほうれん草が大嫌いでした。けど、栄養があるからと言われて頻繁に食卓に登場するのでよく涙目になってましたね。
何が嫌いって口に入れた時に感じるキシキシと音を立てそうな、えぐ味が大きらいでした。
流石に大人になった今は普通にほうれん草を食べますが別にあのえぐ味が好きになったわけじゃありません(って、あれが好きな人はそういないかも)。
ただ、下ごしらえにひと手間かけてえぐ味を取るようになっただけです。
ほうれん草のえぐ味の原因
ほうれん草のエグミの原因はほうれん草に含まれるシュウ酸にあります。
シュウ酸は口の中でカルシュウムと結合してシュウ酸カルシュウムになります。この化学反応が起きる際に独特のえぐ味を感じるのです。
であれば、対策は2種類考えられます。
- ほうれん草からシュウ酸を取り除く。
- 食べる前にシュウ酸をカルシウムと結合させてしまって口の中で化学反応を起こさせないようにする。
のいずれかを行えばOK。
ほうれん草のえぐ味の取り方(シュウ酸を取り除く)
塩ゆで
シュウ酸は水溶性で水に溶けます。特に熱した水にはよく溶けます。なのでほうれん草を軽く下茹ですればシュウ酸は茹で汁に溶けてしまいます。
下茹でのコツはこんな感じです。
- 塩ゆでにする。水1リットルに対して塩6g(小匙1)、500mlなら3g(小匙1/2)
- 茹で時間は軸を先に浸けて1分、ラスト30秒で葉を浸けてトータル1分茹でる
- 茹で終わったら速やかに冷水で洗う
茹で時間が長いとほうれん草に含まれる他の栄養素も抜けてしまうのでごく短時間にしましょう。
あと、熱いまま放置すると色が褪せます。濃い緑色を保つためには速やかに冷ますのがコツです。この技法は「色止め」と呼ばれます。
ほうれん草を冷ましたら本来の調理(おひたしなら本茹で、炒め物ならフライパンに投入)すればOKです。
レンチン
ネットで検索するとレンチンすると良いという記事を見かけますが片手落ちに感じます。
目的はシュウ酸を水に溶かして取り除くことなのでレンチンしただけではシュウ酸は残ったままです。
ただ、ほうれん草が加熱されるのでシュウ酸が水に溶けやすくなっていることは事実。そこで……
ほうれん草を600ワットで3分チンしたら速やかに水につけてすすぎましょう。こうするとシュウ酸が水に溶けて取り除くことができます。
水に浸ける
シュウ酸は高温の水の方が溶けやすいですが常温の水に10分ほど浸けておいてもある程度溶けるので効果はあります。
ほうれん草のえぐ味の取り方(食べる前にシュウ酸カルシウムにしてしまう)
これは作る料理を選ぶ技法なのですがカルシウム豊富な食品と合わせて食べる前にシュウ酸カルシウムにしてしまえば口の中で化学反応は起きなくなります。
たとえば卵や牛乳はカルシウムを多く含む食品です。これとほうれん草を合わせて加熱調理すれば料理の中でシュウ酸はシュウ酸カルシウムに変わるので口の中で化学反応を起こしません。
ほうれん草と卵、牛乳を使ったレシピの例
■なんちゃってキッシュロレーヌ(調理時間15分)
【材料】(1人分)
- ほうれん草:半束
- ベーコン:1枚
- スライスチーズ:1枚(とろけるでない方が僕は好き)
[ソースパート]
- 卵:1個
- 牛乳:70g(70cc)
- マヨネーズ:8g
- コンソメの素(顆粒):2.5g
- ホワイトペッパー:少々
【作り方】
- ほうれん草はざく切りにし、丼に入れます。ラップをして竹串で2、3箇所穴を開け電子レンジの強で1分半チンします。ベーコンとスライスチーズは5mm幅の細切りにします。
- [ソースパート]をボウルに合わせて泡立て器でよく混ぜます。これにほうれん草を加えてよく和えます(チンしたときに出た煮汁は捨てます)。
- ほうれん草と[ソースパート]を耐熱皿に均しながら入れます。その上にベーコン、さらにスライスチーズを載せ、180度に予熱したオーブンで20分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- ポイントはほうれん草と[ソースパート]をよく和えること。よく和えることで焼いている間にシュウ酸は牛乳、卵に含まれるカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムに変わるので、えぐみを和らげることができます。
- 食感はプディングか茶碗蒸しみたいな感じ。タルトがないのが寂しい気もしますが十分美味しいです。
- 他にしめじやエリンギなども加えると楽しいと思います。その場合はフライパンで軽く炒めてから加えましょう。