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厨房日誌

重なり合う二次創作(アニメ制作の裏側で)

今日書くお話は料理とは何の関係もないアニメ制作のお話です。(このエッセイ、本当になんでもありだな(-_-;)

2014年にSHIROBAKOというアニメ制作現場を舞台にしたアニメ作品(ややこしい)が登場しました。

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僕が身を置くシステムエンジニアの世界の日常と共通する部分も多く、大いに共感しながら観たものです。

その劇場版が先週の土曜日から公開されていて、実は前売りも買ってあるのですが、どうにもアニメの話が書きたくなった次第です。

アニメ制作でずっと不思議だったことがあるのですが、原作のないアニメのストーリーって誰が考えているんだろうということです。

原作付きの場合はそもそも既刊の小説や漫画があり、そのストーリーに沿ってアニメ制作が進むわけですが、それがない場合、小説家(または漫画家)がいないのになんで物語が作れるんだろうと。


で、調べてみました。

答えは監督、プロデューサー、脚本家が寄ってたかって作るということみたいです。

中でもそのアニメの企画を立ち上げた人がコンセプトを決める権限を持つみたい。

企画者が監督なら最終判断は監督が、企画者が脚本家なら脚本家が「これでよし」というみたいです。

ただ、ややこしいのは制作者がよしと思ってもスポンサーがNO!という場合があるらしい。

例えば玩具メーカーがスポンサーに付いた場合、「主人公が大人? おもちゃを買ってくれる子供たちが観ないじゃないか。主人公は少年にしなさい」とか。

プラモデルを買ってほしい場合は「戦闘機じゃなくてロボット物にしようよ。それも次から次に新しいロボが出てくるようなやつ」なんてことを言い出すらしいんですよね。

そうやって機動戦士ガンダムの物語は作られたらしいです。

原作がある場合はスポンサーが口を出してきても「いやいや、それはあまりに原作からかけ離れているから」と反論のしようもあるのでしょう。

けど、元々物語のないところから始めているので「このアニメはこういう話なんです」と言いようがない。

ひどい場合は企画はすごく良かったのに大人の事情で変なアニメになっちゃったってのもあったんじゃないかな。

アニメの面白いところはそうやって、ストーリーが決まっても監督やプロデューサー、脚本家が絵を描くわけではないというところです。

原画や動画はアニメーターが脚本や絵コンテを読んで頭のなかで絵面や登場人物の表情を咀嚼して描きます。

いわゆる二次創作というやつですね。

また、登場人物の演技の要となる「声」は声優が演じるわけで彼らも脚本を咀嚼して演じ方を決めます。

こうやってみるとアニメーション作品ってホントにいろいろな人の作品に対する解釈が合わさってできているんだなぁと思います。

で、人によって場面場面の情景や演技の解釈は異なるのが普通ですから対立が起きることだってあります。

それを高いところから俯瞰して1本のストーリーにまとめ上げるのが監督のお仕事なわけです。つくづく大変だなぁ。

人によってはそこだけは絶対譲れないと侃々諤々の議論になることもしょっちゅうじゃないですかね。


とまれ、アニメってこんな風に多くの人の二次創作の重ね合わせでできるわけです。

なので当然、最初の企画とは似ても似つかない設定や場面ができあがって「なんでこうなった」と言いたくなることもあるでしょう。

庵野秀明監督がかつて嘆いたことがあるそうです。

「スタジオジブリのアニメーションは宮崎監督の絵コンテ(アニメの設計図)がとにかくできが良い。なのに、それを元にアニメーターが描き、声優が演じるとその何分の一も再現されない。勿体無いことこの上ない」

観客である我々が劇場で観ることができるのは完成品だけですから、その元になった「できの良い絵コンテ」の方がすっごく気になります(観てみたいな)。

それに比べて、小説を書く作業というのは一から十まで一人で行う作業です(エラリー・クイーンみたいに二人で書いているケースもありますが)。

なので、僕は大勢がああでもない、こうでもないと議論しながら物語を構築していく現場というのはちょっと想像しづらい一面があります。

あ、誤解がないように書いておきますが、作家が書き上げた小説がそのまま本になって書店に並ぶわけではありません。

編集や校閲さんがチェックして文章表現だけではなくプロットやキャラクター設定など修正が要求されます。

時には、元の原稿の何割も原型をとどめていないことだってあります。実際にライター仕事に関わって、それは痛感しました。

それでも初稿を上げるのは作家ひとりの仕事ですし、最終稿を仕上げるのも作家ひとりです。

なので、作家の仕事はとても孤独です。けど、見方を変えればなんの束縛もなく、しがらみもなく、とても自由です。

省みてアニメ制作の現場では「あそこはもっとこうしたかった」、「この場面はボツにしたくなかった」そんな怨嗟が完成品の陰にうず高く積もっていそう。

ま、そう言った「心残り」は次の作品に挑むバネになるのでしょうが。

僕は「みんなで決める」とか「集団行動」とかいうのがすっごく苦手なのでとても務まらない現場だろうなと思ってしまいます。

2020/03/02 Mon.

 

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