どんなジャンルでもそうですが、まだ初心者なのに
「俺のスタイルは型破りで旧弊な型にはとらわれないものなんだ」
と変な方向性を目指す人がいます。
彼が気付いていないのは「型破り」という言葉を使って良いのは「型を熟知している人」だけだということ。
そして更に陥りがちな過ちは他人にそれを指摘された時、
「誰も思いつかなかったようなことを俺はやるんだ。だから型なんか関係ないんだよ」
と言って型を学ぼうとしないことです。
もしそれで本当に誰も見たことのないものが作りだせれば彼は天才と言うほかありません。
ただ、まあ普通はそうはなりません。
「学ぶ」という言葉は古くは「まねぶ」と呼ばれ、先達を真似ることによって技術を磨くという意味があったようです。
だからお料理の世界でも新しい料理を作りだそうとするのならゼロから作るより既にある料理にヒントをもらう方が正道と言えます。
茶道の世界では「守破離」という言葉があって、「まず型を守る(学ぶ)、次に型を破る、最後に型から離れる」というのが精進するためのステップらしいです。
「なんか、誰も見たことがないようなポークカレーが食べたい」
と思ってこの料理を試作しました。
豚肉の存在感をアピールしたい。
だったら使うのはブロックの方が良い。
では、どうまとめていくか?
で、考えたのが豚の角切りに生姜醤油で下味を付けて唐揚げにして、カレーで煮込むというもの。
「ん? どこかで見たことあるぞこの料理」
と思った方もいらっしゃるのでは?
そう、この料理のベースになっているのは中華料理の酢豚。
だからお酢もケチャップも使っています。
新しい料理を生み出すことは既成の料理を否定することから始めるのではなく、そこから何かを学んでそれを活かす方が賢いんじゃないのかなと改めて思いました。
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【材料】(4人分)
-調理時間:50分-
- 市販カレールウ:半箱
- 水:パッケージに記載されている量
- 豚角切り:250g~300g
- 片栗粉:適宜
- 揚げ油:適宜
- 玉ねぎ:1/2個
- 人参:1/3本
- 茸類:椎茸、しめじなど適宜
[下味パート]
- 濃口醤油:12g(小匙2)
- 酒:10g(小匙2)
- おろし生姜:ひとかけ分
[調味料パート]
- 酢:20g(大匙1+小匙1)
- トマトケチャップ:10g(小匙2)
【作り方】
- 豚角切りに[下味パート]を合わせて30分漬け込みます。
- 1.をやっている間に玉ねぎはくし形に、人参は半月に茸類は椎茸なら細切り、しめじなら小房に分けます。
- 鍋にサラダ油(分量外)と玉ねぎを加えて中火にかけ炒めます。音がし始めたら弱火にして10分間しんなりするまで炒めます。更に人参、茸類を加えて5分炒めます。
- 3.に水と[調味料パート]を加えてひと煮立ちさせカレールウを加えて弱火にし煮溶かします。 ※市販のカレールウは意外に溶けにくく底でダマになっていることがありますので泡立て器などでしっかり混ぜましょう。
- 1.をざるに揚げて水気を切り片栗粉をまぶして180度の油で3分揚げます。キッチンペーパーでしっかり油を切ってから4.に加えます。
- 5.を弱火で10分煮込めばできあがり。
【一口メモ】
- お肉のゴロゴロ感がたまりません。スライス肉を使ったポークカレーだとイマイチ主役アピールが弱い気がしていたのですがこれはまさに豚肉が主役のカレーです。
- 酢が全体をキリッと引き締めてくれてさっぱりした風味に仕上がっています。唐揚げの脂っこさにブレーキがかかってクセになる味。いくらでも食べられそうです。
- この料理は中華料理の酢豚をヒントにしていますが、酢豚で豚唐揚げに酢を使う理由を再認識しました。中華料理の知恵が活きている感じ。
- 酢豚に使うような具材が合うと思いますのであとピーマンなんかも良いと思います。パイナップルは賛否両論ありそうだけれど僕は賛成派かな。