まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。小さなといえば、明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう。
司馬遼太郎作「坂の上の雲」の書き出しです。
確かに明治という世を迎えた日本という国はほんとに小さな国でした。
予算がなりたつはずもないのに海軍や陸軍を持ってしまいました。
軍隊の運営維持で一番大事なのは戦闘能力でも訓練のカリキュラムでもなくて食べさせること。
平時でもとんでもない人数の人員を抱えている組織ですからそれに費やす食料は膨大な量だったと容易に想像できます。
当時、海軍を悩ませていたのは兵士の死因トップに挙げられる脚気という病気でした。
今ではビタミンB1不足が原因とはっきりしていますがもちろんその頃は原因不明。
ただ西洋の軍隊ではそれほど深刻な問題ではないじゃんと気付いた人物がいました。
海軍軍医の高木兼寛はもしかして食べているものが違うからではないかという点に着目して軍の食事を西洋式に改変します。
その改変メニューの1つがカレーライスでした。
肉と野菜をいろいろ使ってスパイスをふんだんに利かせたシチューは大人気でした。そして本当に脚気による死者は激減したのです。
【材料】(2人分)
-調理時間:15分-
- ご飯:食べたいだけ
- 豚こま:150g
- 鶏肉(鶏もも肉、砂肝などいろいろな部位):各50g
- 人参(小):1本
- ごぼう:20cm
- 玉ねぎ:1/4個
- きのこ類(ブラウンマッシュルーム)など:数個
- オリーブオイル:12g(大匙1)
- 白ワイン:15g(大匙1)
- カレールウ:半パッケージ
- トマト缶:100g
[調味料パート]
- 砂糖:14g(大匙1.5)
- クミンパウダー:少々
- ガラムマサラ:少々
【作り方】
- 人参、ごぼうは3cm幅に切り更に縦4つに切ります。鶏肉とこれらを焼き網に載せオーブンか魚焼きのグリルで途中ひっくり返しながら10分焼きます。
- 1.をやっている間に玉ねぎは細切りにマッシュルームは薄くスライスします。大ぶりの鍋にオリーブオイルを入れて中火にかけこれらを投入してしんなりするまで炒めます。これに白ワインを加えて水気がなくなるまで炒めます。
- 2.に食べ易い大きさに切った豚こまを加えて色が変わるまで炒めます。更にトマトを加えて2分炒めます。
- 3.にカレールウのパッケージに記載された分量の水を加えてひと煮立ちさせます。
- 4.を沸かしている間に1.の鶏肉は薄切りに、人参はいちょう切りに、ごぼうは薄切りにし、順次加えていきます。煮立ったらアクを取りカレールウと[調味料パート]を加えます。
- カレールウをしっかり溶かして10分煮込めばできあがり。
【一口メモ】
- 作りながらビーフシチューなどを作る際のコツを加えて工程をアレンジしていったやっつけレシピなのですが食べてみると意外に美味しい。なので、忘れないうちにメモしておきます。
- 戦前日本海軍ではカレーは定番メニューだったそうですが海上自衛隊にその伝統は受け継がれていて、今では金曜日はカレーというのはお約束。1週間の献立にこれをいれることで曜日感覚がなくなりがちな艦隊勤務がピリッと締まるそうです。
- このカレーのコンセプトは栄養補給。なので他にもじゃがいもなど冷蔵庫のありあわせの野菜を加えて下さい。
- 鶏肉や野菜はひと手間かけて先に焼くことで旨味が一段上がります。
- 敢えて料理名に「金曜日の」と銘打っている通り、翌日には買い出しに行くことを想定して冷蔵庫の在庫をすっきりさせる料理です。この機会に野菜室の奥まで覗いて眠っている野菜類を使い切っちゃいましょう。