街の片隅にあるビストロのシェフが謎解きをする短編連作ミステリー「ビストロ・パ・マル」シリーズに一時期ハマっていました。
「シェフは名探偵」というタイトルでドラマ化もされましたね。
主演の西島秀俊さんはちょっとお節介で客が持ち込む悩みや厄介ごとに首を突っ込んでは謎を解いてしまうビストロのシェフといった役どころ。
実はキッチンのセットの中で本当にオーダーの入った料理を作っていた──なんてまことしやかな情報をSNSか何かで見かけた覚えがあるのですがホントかな?
ホントだったら凄いな。
ドラマにはならなかったのですが原作には退職した夫が料理にハマっていて困ると愚痴をこぼすご婦人の話があります。
「無趣味で一日中ソファーでごろごろしているより良いじゃないですか」
と店員たちは取りなすのですがそうでもないらしい。
料理にハマった彼はとりあえずレシピ本に書かれた通りにしないと気が済まない。
結果、一度きり使ってほったらかしになった調味料や食材、調理器具が家の中に溢れているのだそうです。
僕にも覚えがあるので読みながらにやにやしてしまいました。
料理を始めたての頃は手の抜き方がわからずとにかくレシピにそう書いてあるからその通りしなきゃと思ってしまう──というのは料理というジャンルに限らずあるあるな話だと思います。
ま、繰り返しやっていればそのうち要領が分かって来て「外したらダメなことと外しても良いこと」、「手を抜いちゃダメなことと手を抜いても問題ないこと」が分かってくるものです。
それでもその判断に迷う時は料理を要素分解するとその料理の要が何か見えて来るのでおススメです。
例えばトンカツの構成要素は豚肉と卵、塩&胡椒、薄力粉、パン粉です。
このうちさすがに豚肉を抜きにしてしまうともはやトンカツではなくなってしまうので必須ですが例えば薄力粉は衣の食感が少し変わる程度なので最悪なくても作れます。
卵も実は必須ではなくて豚肉を水で濡らしてパン粉を付ければそれっぽい料理を作れます。
裏技的には卵と油が主成分のマヨネーズを代用するなんてテクもあったりします。
では青椒肉絲(チンジャオロース)を要素分解するとどうなるでしょう。
肉(豚肉)、ピーマン──以上。
実はこの2つが青椒肉絲の必須食材です。
だって料理名が「青椒」=ピーマン、「肉」=豚肉(中国語で何の断りもなくただ肉と書いてある場合は豚肉を指します)、「絲」=細切りですから。
日本では一般的にお肉とピーマン以外に筍の水煮などを入れますがあれは「外しても良いこと」なんですね。
筍の代わりに軽くレンチンしたじゃがいもを使うのもありです。
そして──エリンギを細切りにして使えば見た目は青椒肉絲風の新しい料理ができたりするのです。
【材料】(1人分)
-調理時間:9分-
- エリンギ:1本
- 牛又は豚スライス:100g
- ピーマン:半個
- にんにく:ひとかけ分
- 豆板醤:3g(小匙1/2)
- サラダ油:6g(大匙1/2)
[下味パート]
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- 酒:2.5g(小匙1/2)
- 片栗粉:2g(小匙1弱)
[調味料パート]
- オイスターソース:6g(小匙1)
- 酒:10g(小匙2)
- 濃口?油:3g(小匙1/2)
- 砂糖:3g(小匙1)
【作り方】
- お肉を5mmの細切りにし[下味パート]と合わせてよくまぶします。エリンギ、ピーマンも細切りにします。にんにくはみじん切りにします。
- 中華鍋かフライパンにサラダ油、にんにく、豆板醤を入れて中火にかけます。香りが立ってきたらお肉を加えて色が変わるまで炒めます。更にエリンギを加えて1分炒めます。
- 2.にピーマンと[調味料パート]を加えて調味料を絡めながら水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- 全然違和感なしの青椒肉絲味です。って使っている調味料は同じなので当たり前なのですけど。エリンギは旨味成分の塊でもありますので却って美味しいかも(味が濃いので旨味はあまり感じられないのですがw)。
- 同様に軽くレンチンしたじゃがいもを使っても美味しくできますよ。筍の水煮はけっこう良いお値段がするので無理にそろえる必要はないと思います。
- ちなみにこのレシピにある通り青椒肉絲の味付けは家にある調味料で事足ります。市販の青椒肉絲の素をわざわざ買ってこなくても良いのでその分安く上がります。
- 調味料の中でも例えば豆板醤の手持ちがなければ一味唐辛子を少し振ればだいたい似た味付けにすることができます。できるだけ余計なものを買わないように心がけましょう。中華を頻繁に作るのでなければ豆板醤などは持て余してしまうと思います。