唐揚げ専門店の倒産相次ぐ──なんてニュースを過日ネットで見かけました。
前年比7倍だとか。
不謹慎な感想になっちゃいますがそれだけの数が倒産したということはそれだけの数の店が開業していたということで、寡聞にして知らなかったのですがここ数年唐揚げのブームが来ていたみたいですね。
若鶏の唐揚げといえば居酒屋メニューで人気投票をしたらまず間違いなく一位を獲っちゃう料理ではずれなしの商材。
加えて揚げ鍋ひとつで作れますから他の料理屋に比べて(開業は)お手軽だったのかなと想像します。
そんな若鶏の唐揚げを扱う外食産業の歴史は意外なことにけっこう浅くて戦後のことらしい。
その背景には折からの食糧難で国が養鶏に力を入れていたことも影響していたとか。
居酒屋では塩味と醤油味どっちが美味しいかとかレモンはかけるかかけないかだとか議論が絶えない料理ですがそんな議論が巻き起こったのも高度成長期よりこっちのことみたい。
ってつい昨日のことじゃん──なんて還暦を間近に控えるおっさんは思っちゃいますw
余談ですが大衆店でも高級店でも鶏のから揚げは品書きに「若鶏の」という冠が付くものと相場が決まっています。
馴染みの焼鳥屋の大将に「なんで親鳥とか百日鶏とか高めの肉を使って単価を上げないんだろう」と訊いたことがあるのですがこんな答えが返ってきました。
「鶏も人間と同じで若鶏の頃は脂が乗っているんだけど年を取るとそれが落ちていく。脂が枯れたそんな肉を揚げ油に入れたら身が揚げ油を吸っちゃって食えたもんじゃないんですよ」ですって。
なるほどわざわざ「若鶏」を使う理由がちゃんとあったんですね。
ちなみに外食メニューとしての日本最古の唐揚げが登場した年代ははっきりしているらしくて昭和7年頃。
歌舞伎座(銀座方面です)そばの「食堂・三笠」というお店らしい。
その店が銀座に鶏料理専門の支店を出したらしいのですがこれが業績不振で鶏肉の在庫がたぶついちゃったというのが唐揚げ誕生秘話らしい。
よくぞ起死回生の一策でこの料理にたどり着いたなと感心しちゃいます。
令和初頭の唐揚げブームは一旦去って行ったようですがいずれまたブームが再燃することもあるんじゃないかしらん。
なんてったって唐揚げはみんな大好きな人気メニューですから。
次に流行るときは願わくば鶏肉以外の食材を使った唐揚げのラインナップが豊富な店が登場すると楽しいんじゃないかなと期待しています。
たとえば芋を使ったこの唐揚げも外はサクサク中はねっとりでヤミツキになる美味しさなんですよ。
【材料】(1人分)
-調理時間:30分-
- 里芋:5個
- 片栗粉:適宜
- 揚げ油:適宜
[漬け汁パート]
- オイスターソース:18g(大匙1)
- 豆板醤:3g(小匙1/2)
- 酒:10g(小匙2)
- おろしにんにく:ひとかけ分
【作り方】
- 里芋を茹でる湯(分量外)を沸かして沸騰したら皮付きのまま里芋を投入し中火で5分茹でます。[漬け汁パート]を合わせてよく混ぜておきます。
- 1.の里芋が茹で上がったらざるに揚げて湯を切り皮を剥いて(若い芋なら手で剥けます。難しければ包丁で)一口サイズに切ってビニール袋に入れます。これに[漬け汁パート]を加えてよくもみ。10分漬け込みます。
- 2.の漬け込みの終わりに合わせて揚げ油を170度に温めます。2.の里芋をざるに揚げて水気を切り片栗粉をまぶします。これを揚げ油に入れて3分揚げればできあがり。
【一口メモ】
- 外はサクサクの衣。中はねっとりとした里芋。それを彩る中華の辛味。鶏のから揚げとはまた違った旨さがあります。腹持ちもとっても良いんですよ。
- 同じ要領で山芋やじゃがいもを使っても美味しく作れます。
- 逆に若鶏にこの[漬け汁パート]
- を使うと中華風の唐揚げが作れますよ。揚げあがりにすりごまをまぶすと風味が変わってまた楽しいです。