もはや「往年の」という冠を付けた方が良いのかもしれませんがグルメ漫画の金字塔「美味しんぼ」は良くも悪くも僕らの食生活に様々な影響を与えました。
日本の食文化を見直す機会を与えてくれたこと。
身近な料理にも様々な工夫と手間がかけられていることを再認識できたこと。
同じ料理でも使う食材によって雲泥の差の出来があると教えてくれたことなど同作の功績は計り知れません。
反面、特定の料理や食品添加物に対して行き過ぎた批判や時に強い言葉で罵倒する場面もあったりしてトラウマを植え付けられた人も少なからずいたようです。
僕なんかも飲み屋で飲んでいたらいきなり奥の座敷から怖いおじさんが出て来て
「この小鉢を作ったのは誰だ。女将を呼べ」
なんて怒鳴り散らしたりしないだろうかと連載当時はけっこう恐怖に感じていました(笑)
あるいは伝説の炒飯の回で絶賛された「余分な油がとんで飯がぱらりとなる炒飯」の呪縛にハマってしまい何年も何十年もぱらぱらの炒飯を追求し続けた人が少なからずいたとかw
中でも僕が首を傾げたのは手間とヒマを混同した意見でした。
確かに鍋に付きっ切りになる料理はその間他の作業ができず手間がかかって大変です。
けどヒマのかかる料理はそうではないと思うのです。
たとえばそばツユの要になる蕎麦の返し(本返し)は仕込んでから3週間以上寝かせるというエピソードがありましたが仕込んでしまえばあとは基本的に放置です。
ツボの前に3週間張り付いているわけではありません。
職人さんはその間、別の作業をしています。
けど同作では「これだけの時間をかけるから凄いんだ」と絶賛しているんですよね。
けどね、極論を言えば仕込んだことをすっかり忘れて「あ、そういえばこんなの作っていたな」と気づいても何の問題もなし。
すぐに美味しい蕎麦が頂けます。
時間経過がもたらす恩恵を作った人の手柄のように絶賛するのはちょっと違う気がするんだけどな。
なんてスピリッツのページをめくりながら思いました。
ヒマのかかるだけの料理はぶっちゃげて言うと楽ちんです。
仕込んであとはほったらかし。
それで美味しくなるのですから言うことなし。
ただ「これは仕込んで1週間も寝かせたんだよ」とかいう自慢は極力しないでおこうと自戒しております。
この料理も放置系料理のひとつです。
仕込んだらあとはほったらかし。
白菜から出る水分で煮込んでくれます。
その手柄を自慢するかどうかは別としてこういったレシピの引き出しをストックしておくと夕飯の支度はぐんと楽になりますよ。
【材料】(1人分)
-調理時間:25分-
- 鶏むね肉:150g
- 白菜:200g
- 片栗粉:14g(大匙1.5)
- ごま油:6g(大匙1/2)
[下味パート]
- 濃口?油:4g(小匙2/3)
- 酒:7.5g(大匙1/2)
- 砂糖:2g(小匙2/3)
- おろし生姜:ひとかけ分
[調味料パート]
- 蕎麦の本返しまたはめんつゆ:14g(小匙2強)
- オイスターソース:14g(小匙2強)
- 鶏がらスープの素:小匙1/2
- 豆板醤:3g(小匙1/2)
【作り方】
- 鶏肉は一口大に切ります。白菜は食べやすい大きさにざく切りにします。鶏肉と[下味パート]を合わせて10分置きます。
- 鶏肉に片栗粉を合わせて粉っぽさがなくなるまで混ぜます。冷たいフライパンにごま油を入れて中火にかけます。これに鶏肉を皮目を下にして並べ(重ならないように注意)3分焼きます。
- 2.の鶏肉をひっくり返してその上に白菜をまんべんなく敷き詰めます。[調味料パート]を回しがけたら蓋をして弱めの中火で10分蒸し焼きにします。 ※白菜から水がたっぷり出るので焦げ付く心配はありません。蓋がきちんと締まらないようならギュッと上から押しつけて圧着してください。
- 蓋を取ってざっくり混ぜればできあがり。
【一口メモ】
- これを作った夜はちょっと寒かったので豆板醤を利かせました。辛いのが苦手な方は抜いてもOKです。
- 白菜をどさっと載せて仕込んでしまえばあとはほったらかしの楽ちん料理です。白菜からたっぷり出る水が煮汁になって良い感じに仕上がってくれます。
- 人参や茸などいろいろ具材を足すと栄養価がアップします。ちょっと変わったところでは細切りにしたじゃがいもを一緒に煮ると腹持ちが良く満腹感もアップした一皿になりますよ。