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鶏肉の料理(洋食)

ささみの揚げ焼き塩レモンソースがけ

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」

ニーチェのこの有名な言葉本来の意味は

「ミイラ取りはミイラになりがちだから気を付けましょうね」

といったほどのものだと思うのですが僕はこの言葉をネットなどで見かける度にちょっと違うことを考えてしまいます。

「人はとかく自分を主体に物を考えちゃうよな」

なんてね。

例えば白雪姫のお母さんである女王の日課は魔法の鏡に世界で一番美しい女性が誰か訊ねることだった──というのは誰もが知るところです。

けれど「魔法の鏡の日課は女王に世界で一番美しい女性について質問を受けることだった」と考える人は案外少ない気がするのです。

おや、もうこんな時間か。

そろそろ女王様がやってきていつもの質問をするんじゃないかな──案外、鏡はそんなことを考えていたかもしれません。

そうやって何年も女王の顔を見ているうちに「こいつも随分と老けて来たなぁ」なんて不遜なことすら考えていたかもしれませんね。

同様に幕末の黒船来航から明治維新にかけて一気に流入してくる西洋文明にカルチャーショックを受けた日本人は大勢いたと思います。

けれどその西洋人たちも極東の小さな島国の文化にまた大きなショックを受けたんじゃないかと考える日本人は案外少なかったんじゃないかと想像します。

だって日本人にとってはその文化は当たり前すぎるからショックを受ける意味が分からなかったと思いますから。

たとえば黒船に乗ってやって来たペリーは町角に立てられた立札を見かけます。

「これからちょくちょく黒い船が来るけど害意はないからびっくりしないでね」

といったほどのことが書かれたものでしたが彼が驚愕したのはその辺を歩いている村人がそれを読んでいることでした。

「こいつら貴族でもないのに字が読める! そして書かれている内容を理解している!」

子供の頃に寺子屋で読み書きそろばんを教わってきた日本人からしたらそれがどうしたという話ですが世界中探してもこんなに識字率が高い国はないと知っている米国人のペリーからすればそれは脅威でした。

似たようなショックは食文化にもあったようです。

「なんでこいつらはなんにでもあの黒い液体をかけるんだ?」

出された料理に醤油をかけたがる日本人は西洋人にとってかなり奇天烈に見えたでしょう。

洋食の世界では料理は供された時点で完成品。

味もベストの状態で調味されています。

そのまま食べるのが一番美味しいに決まっているのに食べる時になんでまた味を付けようとするんだ?

21世紀の今でこそ外国でも醤油は万能調味料として広く知られていますが19世紀の西洋料理の文化に「万能調味料」という概念はありませんでした。

味は調理をする時に付けるものというのが常識だったので食べる時にその味を変えるというのはずいぶんへんてこな習慣に見えたでしょうね。

ちなみにアメリカの万能調味料、トマトケチャップの草分けがハインツ社から発売されたのは1876年(明治8年)のことだそうです。

逆にアジア圏には国ごとにそういった万能ソースや料理にそれをかける文化が広がっていて移民の歴史とともに欧米に伝わっていったようです。

それが元からあった料理文化と交わって新しい味が生まれて行ったんだろうなぁと想像します。

この料理で使っているソースは抜群にお肉と相性の良いブラジルの万能ソース「モーリョ・ビナグレッチ」。

このソースも文化の異なる人と人が出会って刺激し合って生まれたものなんじゃないかな。

【材料】(1人分) 

調理時間:7分-

  • ささみ:2本
  • 塩、ブラックペッパー:少々
  • マヨネーズ:6g(大匙1/2)
  • パン粉:適宜
  • 揚げ油:48g(大匙4)
  • 付け合わせ野菜:トマト、キュウリなどサラダになるもの

[ソースパート]

  • 玉ねぎ:1/8個
  • ピーマン:1/4個
  • セロリの茎:1cm
  • にんにく:ひとかけ
  • レモン果汁:15g(大匙1)
  • オリーブオイル:4g(小匙1)
  • 塩:1g(小匙1/6)
  • ブラックペッパー:少々

【作り方】

  1. 揚げ油をフライパンに入れ中火にかけて180度に温めます(約1分半くらい)。 ※パン粉を揚げ油に放り込んですぐに浮いて来れば頃合いの温度です。
  2. 1.をやっている間にささみは筋を取って観音開きにし塩、ブラックペッパー、マヨネーズをまぶし更にパン粉をまぶします。油が温まったらささみを投入し片面1分半、ひっくり返して更に1分半揚げ焼きにします。かす揚げで引き上げてしっかり油を切ります。 ※揚げ油が温まり切るまでにささみの下ごしらえを済ませられると段取りが良いです。集中して全速力で調理しましょう。
  3. 2.の揚げ焼きをやっている間に[ソースパート]の野菜類をみじん切りにして[ソースパート]の残りの調味料と合わせてよく混ぜておきます。付け合わせの野菜は好みの形に切っておきます。
  4. ささみの揚げ焼きを食べやすい大きさにカットしてお皿に盛ります。付け合わせ野菜を添えて[ソースパート]をたっぷりかければできあがり。

【一口メモ】

  • 酸味の強いソースのおかげで肉料理なのにさっぱりした風味に仕上がります。揚げ油の量を少量にした揚げ焼きのスタイルにしていますのでカロリーも低めなんですよ。
  • [ソースパート]の配合はブラジルの万能ソース「モーリョ・ビナグレッチ」をベースにしています。通常はビネガーを使うのですが代わりにレモン果汁を使うことで塩レモン風味のソースに仕上げてみました。レモンの香りが夏らしさを演出してくれていますよ。
  • ささみの代わりに胸肉を薄くスライスしても美味しく作れます。白身坂を使ってもOKですので冷蔵庫の在庫と相談してください。

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