クリスチャンでもない日本人がなぜクリスマスを祝う。
僕が子供の頃からさんざんそんなことを言われてきました。
特に僕が社会人になったばかりのバブルへ突入する時期、それまでは家でささやかにケーキを食べるイベントくらいだったのが恋人たちの特別な日に変遷していった頃、このフレーズを口にしては侮蔑の目を向ける人たちが一定数おりました。
クリスマスとは本来……(以下略)。
なんてね。
いや、あのね、とくとくとクリスマスのあるべき姿を説いたって虚しいだけですって。
日本人にとっては恋人とふたりでシャンパンで乾杯してごちそうを食べるのがクリスマスなんだから──
その使い古された常套句を聞く度に僕は斜に構えてそんなことを考えていましたっけ。
日本人にとってクリスマスは非日常を楽しむお祭りなのです。
毎日、仏壇にお線香を上げて仏様に手を合わせている僕らにとって花まつり(お釈迦様の誕生日)はなんの新鮮味もありません(ってお寺に叱られそうだな)。
縁もゆかりもないキリスト様の誕生日だからこそ、着飾ってその日だけは御馳走を食べて映画の1シーンでしか見たことがないような華やかな雰囲気を楽しみたくなるのです。
僕ら昭和生まれの世代にとって洋食はそんなクリスマスと相通じるものがあります。
毎日毎日代わり映えのしない醤油や味噌で味付けされたおかずばかり食べていたら、華やかなソースに彩られた肉料理が輝いて見えるのは当たり前ですもん。
アンショワイヤードソースはバジルとアンチョビを主軸にした南フランスの伝統的なソースです。
そのビビットな緑色のつややかなヴィジュアルは僕らの非日常への憧れを刺激するのに十分。
赤いトマトなどを添えればそれだけで一気にクリスマス気分に浸ることができるごちそうになるんですよ。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 鶏もも肉:1枚
[下味パート]
- 塩:2g
- ブラックペッパー:小匙1/2
- オリーブオイル:12g(大匙1)
[ソースパート]
- アンチョビ:1枚
- オリーブオイル:24g(大匙2)
- おろしにんにく:ひとかけ分
- バジル:数枚(茎ごと)
- マスタード:小匙1
- ワインビネガー:5g(小匙1)
- 塩:ひとつまみ
- ホワイトペッパー:少々
【作り方】
- 鶏肉の皮目にフォークで数か所穴を開けます。これに[下味パート]をまぶします。
- 冷たいフライパンに皮を下にして置きごく弱火で10分じっくり焼きます。鶏肉をひっくり返して蓋をし、火加減はそのままで更に5分蒸し焼きにします。
- 2.をやっている間に[ソースパート]のバジルをみじん切りにします。これを[ソースパート]の残りと一緒にすり鉢に合わせてすりつぶします。 ※フードプロセッサーにかけるには量が少な過ぎるのですり鉢を使いましよう。すり鉢がなければ細かくみじん切りして工程4.に移ってください。
- 鶏肉を半分に切ります。2枚の皿に3.を敷き詰め鶏肉を盛り付ければできあがり。
【一口メモ】
- 塩気を主体にした味付けにバジルの風味が香り立つソースが刺激的です。ちょっと気取った洋食を食べたい時やお客様へのごちそうにもオススメの1皿です。
- 鶏肉はコールドスタート(フライパンが冷たい状態からゆっくり火を通す技法)すると外はカリッと中はしっとり焼き上がります。ぜひお試しあれ。
- クリスマスシーズンならミニトマトかピンクペッパーを一緒に盛り付けてください。赤と緑のヴィジュアルは説明不要でクリスマス気分を一気に盛り上げてくれます。
- アンショワイヤードソースは南フランスの伝統的なソースです。鶏肉以外に魚の焼き物にもよく合います。パンに付けて食べても美味しいですよ。