個人経営の飲食店、ことに居酒屋の魅力はなんといっても店主の顔が見えるスペシャリテ──店のオリジナル料理にあるんじゃないかなと僕は考えています。
チェーンの居酒屋では望むべくもない自由度、遊び心、そして気概。
にこにこ人の良さそうな顔で笑っていても心の中ではドヤ顔しているご主人を想像すると客の口元も緩もうというものです。
今日日、飲食店の競争は苛烈ですから、頑張っているお店の品書きは人気のレギュラーメニューの上にあぐらをかいていたりしません。
四季折々、旬の食材を使った新作で酒呑みの舌を楽しませてくれます。
また、それが楽しみでついつい暖簾をくぐってしまうんですよね。
過日、馴染みの居酒屋で売り出していた新作がこの品。
袋の中身はなんだろなと期待に胸を弾ませながら箸を取るひと皿でした。
【材料】(2人分)
-調理時間:20分-
- 薄揚げ:2枚
- しらす(できれば生か釜揚げ):100g
- ニラ:半束
- 玉ねぎ:1/4玉
- サラダ油:少々
[調味料パート]
- 濃口醤油:6g
- 酒:5g
- 味醂:6g
- オイスターソース:3g
- 砂糖:1つまみ
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- ニラは1cm幅のざく切りに、玉ねぎはみじん切りにします。
- 1.とサラダ油少々をフライパンに入れて中火にかけ、ニラがしんなりするまで炒めます。これをボウルに移ししらす、[調味料パート]を加えてよく和えます。
- 薄揚げを半分に切り切り口からそっと指を突っ込んで袋状に開きます。これに2.の1/4量を詰めて爪楊枝で口を閉じます。 ※薄揚げを開く時は慎重に。雑な仕事をすると写真右上のように側面を破いてしまいます(--;
- 3.をコンロかオーブンのグリルで10分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- 程よく焼けた薄揚げのカリカリ、サクサクした食感が楽しいです。それでいて中はしっとり半生のしらすがみっしり。酒が進むこと請け合いです。
- 薄揚げに詰める時のコツはみっしりと詰めること。案外に懐が深くてたっぷりの餡が詰まるものですよ。
- 風味の肝はニラ。しらすにニラという発想は品の良い食材と粗野な匂いの取り合わせで冒涜感を覚えたのですが、どうしてどうして、おもしろい相性じゃないですか。
- できればオーブンかコンロのグリルで焼くのがおすすめですが、なければオーブントースターででも作れちゃいますよ。
- 巾着料理の遊び心の肝は中身が見えないこと。福袋的な期待感で食べる人の心をくすぐって、口に入れる前からテンションを上げてくれるのです。