居酒屋のメニューの中にはスペシャリテと呼ばれるものがあります。
その店でしか食べられない1品。
それを食べるためだけに店に通っていると言っても過言ではない皿。
そんな特別な料理に敬意を込めた呼称がスペシャリテです。
そんなスペシャリテとは対極に位置するメニューも居酒屋にはあってどこの店でもたいてい食べられてしかも味に大差がないなんて料理もあります。
中には「それってわざわざお店で頼まなくても家で食べられるんじゃね?」なんてツッコミたくなるものまであるんですよね。
たとえば『冷奴』。
ちゃんとした居酒屋なら薬味やタレに工夫を凝らして出してくれますが中にはホントに豆腐を切って醤油差しを添えて「はいどうぞ」なんて店もあります。
けど酒飲みの中には「縦のものを横に寝かせるのも面倒」なんて言って憚らないものぐさな人もいるのです。
そういうひとは冷蔵庫から豆腐を出して包丁で切って皿に盛るなんてやってられないと考えるらしい。
そういう人からすればただの豆腐に醤油をかけて食べてねなんて皿もお金を払う値打ちのある料理に見えちゃうのでちゃんと需要があるんでしょう。
けど中には「家でも作れるんだけど、わかってるんだけど、居酒屋で酒を飲んでいるとつい頼んでしまう」料理というものもあります。
僕にとってはバターコーンがそれなのです。
コーンの缶詰を開けてフライパンに放り込んでバターと塩、胡椒で炒めただけの料理。
缶詰さえあれば3分もあれば作れます。
けどやっぱ居酒屋でビールを飲みながら食べると美味しいんだよなぁ。
あれは味がどうこうというより場の雰囲気がごちそうになっている気がします。
夏祭りの夜店でつい焼きそばを頼んじゃうのに近い心理かな。
どう考えても自分で作った方が美味しいんだけどなんか美味しそうに見えちゃうんですよね。
過日、おつまみをいろいろ作ろうと思ってもやしを一袋買ってきたのですがそろそろネタが切れかけておりました。
「どんな料理が食べたい?」
と自問。
頭の中でしゃきしゃきに炒めたもやしのイメージが浮かび上がりました。
「どんな味付けにしようか?」
再度自問。
バターコーンみたいなのが食べたい!
脳内に浮かんだそのイメージはまさに天啓でした。
そっかトウモロコシともやしって炒めた時の食感は似てるかも。
かくしておうち居酒屋でも夏祭りの屋台気分を味わうべくこんな料理を作ってみました。
【材料】(1人分)
-調理時間:5分-
- もやし:100g
- バター:10g
- 濃口醤油:6g(小匙1)
- 塩:1g(小匙1/6)
- ブラックペーパー:ひと振り
【作り方】
- やかんに湯通し用の湯(分量外)を沸かします。丼にざるを載せてこれにもやしを敷き詰め湯通し用の湯をかけて湯通しします。 ※湯通しすることで予めもやしの芯まで火を通しておきます。こうすることで工程2.の炒め時間を短くすることができもやしのシャキシャキ感を損ないません。
- 中華鍋かフライパンにバターを入れ強火にかけます。バターが半ば融けたらもやしを加えて30秒炒めます。これに塩を振り鍋肌から醤油を加えて水気がほぼなくなるまで炒めます。火を止めてブラックペッパーを振りざっくり和えればできあがり。
【一口メモ】
- もやしを炒めた時のシャキシャキ感ってちょっとトウモロコシに似ているかも。なんて思ってトウモロコシでは定番のバターコーンをもやしでやってみました。うん、バターの風味と言いシャキシャキした食感と言いあの感じが良く出ています。
- おかずにしても良いのですがやっぱりおつまみ向きかな。あるいは夜中に小腹が空いた時の夜食にもおススメ。もやしは低カロリーなので心置きなく……食べられるんじゃないかなw
- お好みで粗挽きブラックペッパー、粉チーズ、カレー粉を振ると風味が変わってまた楽しいですよ。