僕の知人にひとつの野望を胸に秘めた男がおります。
彼の野望とは……
はじめ人間ギャートルズに出てくるマンガ肉にかぶりつくこと♪

「しょぼっ」と言うのは簡単ですがたぶん誰しも似た野望を持ったことがあるんじゃないでしょうか。
遠くへ行きたい
自分のことを誰も知らない町を歩いてみたい
途方もない冒険の旅に出てみたい
王宮の姫君と道ならぬ恋におちてみたい……
60を目前にしたおじさんになってもそんな憧憬を抱くことはあるのです。

河原で焚き火を焚いて、釣ったばかりのいわなを炙って、熱々のそれにかぶりつく。
スキットルから直飲みでウィスキーを一口。
夕暮れ時、あたりを見回しても人っ子一人いない暮景──
なんて、映画の主人公のような旅ぐらしを夢見ることがあるのです。

ま、実際は長く生きるほど柵(しがらみ)ができてしまって何もかも放り出して旅に出るのは難しいのですが……
けど、ほんのささやかな非日常を演出することは案外簡単にできます。
大ぶりのいわしを買ってきて、塩を振って、炙り焼いてかぶりつく──たったそれだけのことで、あてのない旅暮らしに身を置いている気分に浸れます。

想像力を働かせることができさえすれば……ということで、ありふれたお魚を使って非日常を演出してみようというレシピを書いてみます。
【材料】(1人分)
-調理時間:25分-
- 大羽イワシ:2尾
- 塩:イワシの重さの1%
【作り方】
- 大羽いわしの表面を包丁の背で尾から頭にかけてなでるように鱗を取り除いて、軽く流水で洗い流します。
- 1.をバットに並べて30cmほど上から塩を振りかけます(和食の用語で尺塩と言います)。そのまま10分休ませます。指を濡らして塩をつまみしっぼに塩をまぶしておきます。
- 2.を魚焼きのグリルで8分焼きます。ひっくり返して2分焼けばできあがり。
【一口メモ】
- 超シンプルな調理法ですが脂の乗った大羽イワシには一番似つかわしい気がします。お酒がめっちゃ進みますよ。
- ワタは敢えて抜かずに一緒に食べるのがオススメ。ほろっと苦いのでそれ単体では苦手な人もいると思いますが冷酒に超絶合います。ぜひお試しあれ。
- お好みでレモンを絞ってください。千切りにした大葉をトッピングしたり大根おろしを添えるのもありですよ。

