最近はかつての面影はなくなった気がしますが、アキバこと秋葉原の街を、今でもアニメ、ゲーム、フィギュア、メイドカフェなどで有名なサブカルチャーの街と認知している人は多い気がします。

やはり電車男などの印象が強かったからかな。
けれどそれ以上に、アキバがサブカルの発信地になる前は、ラジオ部品の問屋街、家電の街、パソコンとゲームの街と変遷してきたということを知らない人が、案外多いんじゃないかしら。
かつては抵抗器、コンデンサ、トランジスタなどのパーツを買いにやってくる電気工作マニアでにぎわっていたらしいんですよね。

ヲタク・ファッションよりさらに無個性な服装の年齢不詳の男たちが闊歩し、長さ1cm足らずの電子部品を指でつまんで品定めしているアキバというのは──僕も想像がつかないな(笑)。
そんな男たちでアキバがあふれかえっていた頃、僕は関西の空の下で小学生をやっていて、何の接点もないはずだったのですが──工作好きだった父に影響されて電子機器の自作にあこがれを持っていたので、妙に親近感は覚えます。
本当ははんだごて片手に基板にコンデンサや抵抗器をはんだ付けしていく作業をやってみたかったのですが、「お前にはまだ早い」と親から止められていました。
で、代わりに買ってもらったのが電子ブロックだったのです。

電子ブロックとは、あらかじめ電子部品や配線が組み込まれたブロックを並べることで電子回路を組んで実験が行える電子玩具です。
わかりやすく言うと、プラモデルを組むには繊細な削りや着色などの作業が必要ですが、そういった作業をこなすのが難しい小さな子供にレゴを買い与えるようなものでしょうか。
あれならブロックを挿していくだけなので、数段簡単です。
図面通りに電子ブロックを挿していって、イヤホンを耳に付けたらラジオの音声が聴こえてきた──あの感動を僕は今でも覚えています。

イチから組み立てるのが難しいものを、既存のパーツを組み合わせていくことで初心者でも簡単に作れるようにする──この発想は他のジャンルにも適用できます。
料理のジャンルでいえば、その先駆けはカレーあたりでしょうか。
スパイスをイチから調合してカレーを作るのは、かなりハードルが高い専門的な作業です。
ところがお湯に溶かせばカレーができてしまうルウの登場で、家でも簡単にカレーライスが作れるようになりました。

その進化系がCOOK-DOなどに代表されるレトルトの合わせ調味料かな。
あれのおかげで、初心者でも簡単に酢豚や麻婆豆腐などが作れるようになりました。
これらは食品メーカーが作り出した市販品ですが、実は手持ちのレシピを電子ブロック的に使えば、オリジナルの料理を自作することもできるのです。
例えばランチに麺料理を食べたいと思ったとしましょう。
麺料理の構成は、麺、つゆ(スープ)、トッピングの3つです。

これらを3つのブロックに見立てて手持ちのレシピを当てはめれば、簡単にオリジナルの麺料理を作ることができちゃいます。
例えばこの料理の麺は、なんの変哲もない和蕎麦。
つゆは以前作ったもずく汁。
トッピングは以前お弁当のごはんにかけたそぼろのレシピから引用。
すると……
キリッとした酸味が際立つ新しい温蕎麦ができちゃいました!
熱々の蕎麦をすすっていたら、生まれて初めて自分で組んだラジオから聴こえてきた音声を思い出してしまいました。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- 蕎麦:乾麺1束または生麺1玉
- (市販の)もずく酢カップ:1個
- おろし生姜:ひとかけ分
- 刻み葱:適宜
[そぼろパート]
- エリンギ:半本
- 豚ミンチ:20g
- 生姜:ひとかけ
- ごま油:少々
[そぼろの調味料パート]
- 濃口醤油:18g(大さじ1)
- 酒:15g(大さじ1)
- 砂糖:6g(小さじ1)
[つゆパート]
- 鰹出汁:150g(カップ3/4)
- 塩:1g(小さじ1/6)
- 濃口醤油:9g(大さじ1/2)
- 味醂:12g(小さじ2)
【作り方】
- 蕎麦をパッケージに記載の通り茹でます。
- 1.と並行して、[つゆパート]を小鍋に合わせて中火にかけます。煮立ち始めたらもずくとおろし生姜を加えます。再度、煮立ち始めたら一旦、火を止めます。 ※もずくは漬け込んでいるお酢ごと加えましょう。
- 1.、2.と並行して[そぼろパート]のエリンギは5mm厚の輪切りにし更に銀杏切りにします。生姜は微塵切りにします。
- フライパンにごま油と生姜を入れて中火にかけ香りが立ってきたらエリンギを加えて色が変わるまで炒めます。これにミンチを加えて色が変わるまで炒めます。
- 4.に[そぼろの調味料パート]を加えて水気がなくなるまで炒めます。
- 2.を中火にかけて再度煮立たせます。丼に蕎麦を入れます。これにつゆを注いでそぼろをトッピングします。刻み葱を散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 夏場につけ蕎麦のスタイルでもずくを使った冷蕎麦を作ったのですが、今回は温かいもずく汁を使ったかけ蕎麦スタイルにしてみました。酸味の強いつゆと濃厚な甘辛そぼろが絶妙の相性でめっちゃ旨かったっす。
- 麺料理のように馴染み深い料理から新しい料理を考案する時は一度、その料理の構成をバラすのがおすすめです。バラしたパーツごとに自分の手持ちレシピを当てはめていけば思いもしなかった組み合わせの料理が生まれるかもしれませんよ。
- つゆにおろし生姜を加えると酸味が際立って楽しいです。あと、手持ちがあればおぼろこんぶ(とろろ昆布)を浮かせるのも旨味が加わって面白いですよ。

