すき焼きの思い出──って何があるだろう。
ふと脈絡もなくそんな問いが脳裏に浮かびました。
(ほんと脈絡もないのですが)子供の頃、実家のすき焼きにはコロがよく入っていました。
コロとは鯨の脂身。
スポンジみたいな食感で(って、スポンジを食べたことはないけど)たいして美味しいと思わなかったなぁ。
けど今考えると贅沢な具材です。
あと、春菊を入れるのはマジかんべんしてほしかった。
あの苦味は全然だめでした。
大学時代。
100g100円の牛肉の特売日にしこたま肉を買い込んで友人と二人で鍋を囲みました。
ところが買い置きのネギが思ったほど残っていなくて時ならぬネギの奪い合い、肉の押し付け合いを演じたのは良い思い出です。
社会人になってすぐの頃、大林宣彦監督の「異人たちとの夏」を観ました。
ラスト、浅草の牛鍋屋で両親の幽霊と別れるシーンは泣けたなぁ。
あの映画で僕は関西のすき焼きと関東のすき焼きは作り方がまるで違うことを知りました。
3年ほど前、中国から出張できていた同僚の送別会としてすき焼きパーティーを開きました。
異国の甘辛い味の鍋は彼女の口に合ったようで至極ご満悦な様子でした。
で、先週。
特に何を作るといった目的もなかったのですが安い牛肉を買ってきて冷蔵庫を覗くと干からびかけた白菜を発見。
こんなになっても美味しく食べなきゃもったいない。
煮物にすれば食感も戻るだろうと思って作ったのがこの料理。
また、ひとつすき焼きの思い出が増えました。
【材料】(2人分)
-調理時間:12分-
- 牛肉バラ肉スライス:200g
- 白菜:3、4枚
- えのき茸:半株
[割り下パート]
- 水:200g(カップ1)
- 濃口醤油:36g(大匙2)
- 酒:22g(大匙1.5)
- 砂糖:9g(大匙1)
- だしの素(かつおだし):小匙1/2
【作り方】
- 鍋に[割り下パート]を合わせてひと煮立ちさせます。待っている間に牛肉を食べやすい大きさに切ります。白菜はざく切りにします。えのき茸は小房に分けます。
- 1.の鍋に具材を加えて蓋をし、弱火で10分煮込めばできあがり。
【一口メモ】
- 簡易版すき焼きといったところですが味の方はなかなか。ちゃんとすき焼きの味がして贅沢な気分が味わえますよ。
- 10分少々で作れるクイックさがウリの料理です。割り下を温めている間に材料を切るなど段取り良く作りましょう。
- もちろんロースなど高い部位でも美味しく作れますが普段着のおかず風にしたくて安いバラ肉をチョイスしました。
- 茸はしめじや椎茸を使っても美味しいです。