昭和の昔、子供向けのテレビ番組のストーリー構造はとてもシンプルでした。
突き詰めて言えば「正義が悪を倒す」これだけです。
「良いもん」と「わるもん」がはっきりしていて観ている子供たちが混乱することはない──そんな作りになっていました。
しかも「わるもん」のその話数のボスキャラは毎回手を変え品を変えて挑んでくるのに対して「良いもん」の主役(ヒーロー)はたった一人。
ヒーローを取り巻くお仲間はその他大勢キャラとして描かれる傾向にありました。
そんなテンプレートを破ろうとしたのが石森正太郎(のちの石ノ森章太郎)の009シリーズだったんじゃないかな。
世界各国の様々な人種、さまざまな年齢層のヒーローたちが9人集結する。
しかも誰かが突出したヒーローなのではなくそれぞれに血肉の通ったバックボーンが設定されている。
それまでにはなかったタイプの物語でした。
その延長線上に宇宙戦艦ヤマトという作品が登場して「わるもん」であるはずの敵方「ガミラス」の人たちにも彼らなりの道理も矜持もあるということが描かれるようになりました。
ま、その方がリアリティは増しますよね。
イマドキのアニメでは登場人物たちは「良いもん」、「わるもん」でくくられる方が珍しく、良いところも悪いところも持ち合わせた人たちの群像劇として描かれるのが主流になってきています。
料理の世界でも一般にはヒーローに相当する主食材というのが存在してそれを軸に「肉料理」とか「魚料理」といった分類がなされます。
それ以外に加えられる食材は副食材と呼ばれて主食材の持ち味を引き立てる脇役として存在することが多いです。
けれど中にはこの料理のようにどれが主役と決めがたいいわば群像劇のような料理も存在しまして分類に困ってしまうことがあるのです。
果たしてこの料理は鶏肉の料理なのか、野菜? はたまた根菜。
ま、それら全部が集結するからこの美味しさなんだよなと納得することにしています。
【材料】(1人分)
-調理時間:10分-
- 鶏むね肉:100g
- 茄子:1本
- サツマイモ:半本
- 片栗粉:少々
- サラダ油(A):4g(小匙1)
- サラダ油(B):12g(大匙1)
[下味パート]
- 塩:少々
- ブラックペッパー:少々
- 片栗粉:少々
[調味料パート]
- 濃口?油:9g(大匙1/2)
- 味醂:6g(小匙1)
- 酢:5g(小匙1)
- 砂糖:4.5g(大匙1/2)
- 鶏がらスープの素:ひとふり
- おろしにんにく:ひとかけ分
【作り方】
- さつまいもは皮つきのまま7mm厚のいちょう切りにして耐熱皿に入れラップをかけて電子レンジの500ワットで2分チンします。
- 1.をやっている間に鶏肉はそぎ切りにして[下味パート]をまぶしておきます。茄子はがくを取り7mm厚のいちょう切りにします。
- フライパンにサラダ油(A)と鶏肉を入れて中火にかけ全面に焼き色が付くまで焼きます。これを一旦皿に取ります。
- 3.のフライパンを洗わずサラダ油(B)と茄子を加えて中火で2分、茄子の角が取れるくらいまで炒めます。これに鶏肉、さつまいも、[調味料パート]を加えて水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。
【一口メモ】
- さつまいもの優しい甘みが醤油と砂糖だけの甘辛では表現できないほっこりとした風味を演出してくれて普段着のお惣菜がワンランク上の味に仕上がっています。醤油とさつまいもって何気に好相性なんだよなぁ。
- この料理の立役者は実は食材ではなく調味料の酢だと思っています。これを加えることで味がキリッと引き締まるのです。このレシピではやや控えめにしていますが味を見て加減してください。
- お好みで七味唐辛子を振っても美味しいですよ。