子供の頃、漬物や乾物などは買ってくるものではなくいつの間にか家の中に湧いて出るものだという不思議な認識を僕は持っていました。
母方の祖父母は徳島で塩田をやっていたのですが塩が専売制になったのを機に廃業。
神戸に出てきて別の商売を始めたのです。
うちの家族が単体で引っ越してきたので親戚の大半は相変わらず徳島や香川など四国のあちこちに在住。
中元歳暮は言うまでもなく折に触れていろいろな物産が数多いる四国の親戚から送られてきていたんですね。
(もちろん、祖父母は返礼として関西の物品を送っておりました)なので、讃岐のうどん、鳴門のわかめ、徳島のいりこなどは業者が扱うような巨大な袋詰めのものがいつも台所や物置の隅に鎮座しておりました。
そんな事情など知る由もなかった僕は漬物や乾物などは放っておいても家の中に湧いて出るもので外で買ってくるものじゃないと思い込んでいたわけです。
長じて、家庭を持って暮らし始めると漬物も乾物も湧いて出る気配はない……
ここに至ってようやくその出自に気づきまして(をい)、仕方なく買い出しにでかけたのですが度肝を抜かれました。
高い! めっちゃ高い!
無造作に食べていた漬物もなんとなく使っていた乾物も財布の紐を緩めるのをためらうほどのお値段がしました。
ということで財布を開いて購入するのは漬け種になる野菜の方。
漬けるのは自分で漬ければ良いじゃんという発想に至るまでにそうヒマはかかりませんでした。
半年、1年と長い時間をかける漬物は相変わらず苦手ですが浅漬をはじめとして数日で食べられる漬物のレパートリーは長い結婚生活の中でずいぶんと増えました。
ここ数年は野菜だけではなく魚介を使ったちょっと変わった漬物を作ることも覚えたんですよ。
【材料】(2人分)
-調理時間:5分-
- つぶ貝(生食用):数粒
[漬け床パート]
- わさび:チューブ3cm(または粉わさび小匙1)
- 酒粕:50g
- 酒:25g
- 味醂:30g
- 濃口醤油:3g(小匙1/2)
- 砂糖:2g
【作り方】
- [漬け床パート]のわさび以外を盛り付ける器に合わせて電子レンジの200ワット(弱)で1分半チンします。
- 1.をやっている間につぶ貝を半分に切って更に3mm厚にスライスします。
- 1.をよく混ぜ(熱で酒粕が緩んでいるので簡単に混ざります)、つぶ貝と[漬け床パート]のわさびを加えてよく和えればできあがり。漬け込まなくてもすぐに食べられますよ。
【一口メモ】
- つんと鼻に抜けるわさびの辛さがたまりません。つぶ貝のコリコリした食感も楽しい。最高の肴として晩酌が楽しくなること請け合いの1品です。
- そのまま食べるだけでなくちくわなどの練り物や焼いた厚揚げにトッピングすれば夕飯のおかずとしても楽しめます。
- 数の子わさびに比べるとずいぶん低コストでできるわさび漬けです。ホタテのひもなどを使えば更にリーズナブル。小さく切った野菜類を混ぜ込んでも楽しいです。
- 意外ですがわさび漬けはチーズやマヨネーズと好相性。それらと合わせてサラダに和えても美味しいですよ。