まだあげ初めし前髪の林檎のもとにみえしとき前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけり島崎藤村の「初恋」と衝撃の出会いを果たしたのは確か僕が小学校5年生の頃。
国語の参考書のページをパラパラめくっていてそこに載っていた詩に釘付けになったと記憶しています。
詩の中に出て来るのは林檎にかこつけた思い出話ばかり。
肝心の少女の容姿にはまるで触れていないのに──ありありと初恋の少女の姿が目に浮かぶ。
こんなみずみずしい恋の形容方法があるのかと感嘆しました。
ませた小学生だったなぁw
そういえばデュークエーセスが歌った「おさななじみ」の中で永六輔は「おさななじみの思い出は青いレモンの味がする」と綴っていましたっけ。
林檎にしろ、檸檬にしろ、けっして甘いだけの味ではない──そんな複雑な風味だからこそ思い出を形容するのに似つかわしいのかもしれませんね。
甘酸っぱい。
ほろ苦い。
しょっぱい等々──具体的な食べ物を引き合いに出さなくても味覚は思い出の中の感情の形容に頻繁に使われます。
誰しもがいつかどこかで味わった経験があってイメージし易いからかな。
けど数ある味覚の経験の中から大半の人が判で押したように類似のイメージを描くというのはなんか面白い。
例えば「甘酸っぱい恋」というフレーズから思い浮かべるイメージと言えば苺や柑橘系のフルーツの風味だと思うのです。
酢豚やこの料理のような和風の甘酢を思い描く人は……まずいないだろうなw
【材料】(1人分)
-調理時間:20分-
- 鶏むね肉:150g
- 茄子:1本
- 片栗粉:適宜
- サラダ油:24g(大匙2)
- 煎り胡麻:適宜
[下味パート]
- 濃口醤油:6g(小さじ1)
- 味醂:6g(小さじ1)
- 酒:5g(小さじ1)
[調味料パート]
- 酢:15g(大匙1)
- 水:15g(大匙1)
- ごま油:6g(大匙1/2)
- 濃口?油:9g(大匙1/2)
- 砂糖:4.5g(大匙1/2)
- おろし生姜:ひとかけ分
【作り方】
- 鶏肉はそぎ切りにして[下味パート]と合わせて10分おきます。茄子はがくを取り乱切りにします。[調味料パート]をボウルに合わせてよく混ぜておきます。
- フライパンにサラダ油を入れて中火にかけ1分そのまま温めます。待っている間に鶏肉に片栗粉をまぶしておきます。
- フライパンに鶏肉を入れて片面1分ずつ揚げ焼きにします。更に茄子を加えて油を吸わせながら2分炒めます。
- 3.の油を切って熱いうちに[調味料パート]の入ったボウルに移してよく和えればできあがり。お皿に盛って煎り胡麻を散らして戴きます。
【一口メモ】
- 純和風の甘酸っぱいテイストに仕上げてみました。少し甘めに調整していますので甘さを抑えたい方は[調味料パート]の砂糖の分量を減らしてください。
- 熱々でも冷菜としてでも楽しめるおかずです。今回はまだまだ残暑厳しき折だったので冷蔵庫でキンキンに冷やして戴きました。
- 鷹の爪を加えてピリ辛風味にすれば南蛮漬け風のおかずとして楽しむこともできます。