1960年代半ば頃から「学園ドラマ」と呼ばれるジャンルのテレビドラマが流行りました。
主に高校が舞台で登場人物はそこの先生や生徒たち。
夏木陽介、竜雷太を皮切りに森田健作、中村雅俊、村野武範など多くの人気者を輩出しました。
高校を舞台にしたドラマという意味では令和の今でもちょくちょく見かけますが1960年代から70年代にかけての学園ドラマにはイマドキのドラマとは一線を画する特徴がありました。
それは──テーマが「青春」であること。
型破りだけどお兄さんみたいで頼れる男の先生。
ちょっと不良っぽい男子生徒。
眼鏡をかけてひょろっと痩せたがり勉くん。
勝ち気で男勝りなクラスのマドンナ。
なんか判で押したように毎回同じようなキャラ付けの登場人物が出て来て学園生活の中で泣いたり笑ったり悩んだりするというストーリー。
まさに青春のバーゲンセールのようなドラマ群だったのですがよく飽きずに見ていたよなぁ。
ドラマの主人公は生徒ではなく「型破りだけどお兄さんみたいで頼れる男の先生」が担うことが多かったのですがそのキャラ付けにも共通する特徴がありました。
良く言えば男くさく悪く言えばむさくるしい!
髪型や服装に頓着しない性格というのがお決まりだったのです。
汗まみれ、泥まみれであることを美徳とし、「外見を繕わない男の方がハートが熱くて情にもろいんだ」という哲学みたいなものがあった気がします。
逆にパリっとした服を着ていて髪の毛をセットしているような男はええ恰好しいで冷たい性格の役と相場が決まっておりました。
けどそれも今は昔の話。
イマドキの学園ドラマに出て来る先生も生徒たちもお洒落で綺麗な格好をしていますよね。
もし令和のドラマに昭和の熱血教師みたいな先生が出てきたら浮きまくるだろうなぁw
そんな昭和の熱血教師が食事をするといえばこれまたきっちゃない町の定食屋とだいたい相場が決まっておりました。
「料理は見てくれより味だ」
を信条にしているかのように雑な盛り付けの定食を食べていた気がします。
で、ふとイマドキの学園ドラマの先生や生徒はどんなものを食べているんだろうと想像してみました。
最近はドラマなど観ないので実情は良く知らないのですが恐らくはやっぱり見た目もお洒落な料理を食べているんじゃないかしらん。
例えば昭和の熱血教師が定食屋で食べていたのが炒飯(あるいは焼き飯と呼ばれていたかも)だとすればイマドキはそこにつややかな餡がかかったあんかけ炒飯くらい食べていそうな気がします。
ケーキやタルトにナパージュと呼ばれる艶掛けをすると見た目の高級感がグッと上がります。
それと同じで料理に餡をかける一番の理由は見た目をよくすること。
つややかな餡がかかった料理はそれだけで高級感を演出することができるのです。
けどあんかけにはそれ以外にも狙える効用がいくつもあります。
- ひとつは料理をコーティングして表面が乾くのを防ぐこと
- ひとつは味が絡み易くなり口に入れた時の風味が安定すること
- ひとつは口当たりやのど越しを良くすること
「炒飯はパラパラが命だろ。見てくれを繕って餡なんかかけたらべしゃっとなって本末転倒じゃないか」
あんかけ炒飯を目にした昭和の熱血先生の声が聞こえてきそうな気がします。
けれど論より証拠。
百聞は一見に如かず。
あんかけ炒飯にはあんかけ炒飯の良さがあります。
ものは試しにこのレシピを読んだらぜひ一度チャレンジしてみてくださいな。
【材料】(1人分)
-調理時間:15分-
- ご飯:1膳分
- 卵:1個
- 塩鮭:1切
- 刻み葱:少々または玉ねぎみじん切り1/4個
- サラダ油:12g(大匙1)
[炒飯用調味料パート]
- 味噌:18g(大匙1)
- 味醂:6g(小匙1)
- オイスターソース:3g(小匙1/2)
[餡パート]
- 水:150g(カップ3/4)
- 鶏がらスープの素:小匙1
- 塩:1g(小匙1/6)
- レモン果汁:5g(小匙1)
- 水溶き片栗粉:9g(大匙1)分
【作り方】
- 塩鮭は魚焼きグリルでこんがり焼きます。身から皮を外して耐熱皿に入れ電子レンジの500ワットで1分チンします。身は粗くほぐして骨を取ります。皮はカリカリになっているのでキッチンバサミで粗く切ってチップ状にします。
- 1.をやっている間に卵を割って良く溶いておきます。中華鍋にサラダ油を入れ強火にかけて煙が立つまで加熱します。これに卵を入れてさっとかき混ぜご飯を加えて卵と絡ませながらパラパラになるまで炒めます。一旦これをお皿に取ります。
- [餡パート]の水溶き片栗粉以外を小鍋に合わせて中火にかけひと煮立ちさせます。これに水溶き片栗粉を3回くらいに分けて加えとろみを付けたら火を止めておきます。
- 1.が終わったら2.の中華鍋に刻み葱を入れて中火にかけます。香りが立ってきたらご飯、鮭の身を加えてさっと混ぜ[炒飯用調味料パート]を加えてざっと混ぜながら炒めます。並行して3.の小鍋を中火にかけ再度煮立たせておきましょう。
- 4.をお皿に盛って上から[餡パート]をたっぷりかけます。鮭の皮のチップを散らせばできあがり。
【一口メモ】
- めっちゃ濃厚な風味が鼻腔をくすぐって食欲を刺激します。パンチのある濃い味の炒飯とさっぱりレモン風味の餡がよく合っています。
- 具材が鮭なので醤油系より味噌風味が合うかと思いこの味付けをチョイスしました。ちょっと濃い目の味にしていますのでお好みに応じて味噌の量を加減してください。味噌を減らす場合でも味醂、オイスターソースの分量はこのレシピのままでOKです。
- この料理は北海道名物の鮭のちゃんちゃん焼きをお手本にしています。なので他に具材を加えるとすればキャベツ、人参、ピーマン、茸などちゃんちゃん焼きに使いそうなものをチョイスすれば相性ばっちりですよ。