全ての料理は人間が作っている──なんか哲学めいて聞こえるフレーズですが何が言いたいのかと言うと
「人に作れるものは僕でも作れる」
ということです。
これが僕の自炊のポリシーでお店でしか食べられない料理とかお店で買ってくるしかない料理(スーパーのお惣菜とか)はないと自分に言い聞かせております。
とはいえ
「野菜が煮崩れて溶けるまで1週間煮込んだビーフシチュー」だの
「老舗焼鳥屋の年季を積んだタレ」だの
といったものはどう逆立ちしたって真似できない(手間もかけられない)ことは重々わかっていますのでそういうものは早々に白旗を挙げてお店で食べたり買って帰ったりします。
ただあくまでも信条として無思考で「こんなものは家では作れない」と思い込まないようにしようと心に決めているのです。
漬物、味噌、ヨーグルト、餃子の皮、チーズ、ポテトチップス……
一見お店で買ってこないと仕方がないように思えても実は手順を勉強したら案外簡単に作れちゃうものというのは意外にたくさんあります。
そういったものの「手作り」にひとつひとつチャレンジしていくのが結構楽しいと思えるのはやはり性分なのでしょうねw
魚の一夜干しは元々、塩漬けにした魚を軒先などに吊るして夜風に当てながら乾燥させて作っていたそうです。
今は工場でそういった加工をしているんじゃないかなと思うのですがどっちにしろ家では作れないだろうと言う気がしちゃいます。
けどね、どこのお家にもあるあの文明の利器──「冷蔵庫」があればいとも簡単にできてしまうということを最近知りました。
で、知ったからには試したい。
さっそく作ってみましたよ。
【材料】(1人前)
-調理時間:15~6時間-
- カマス:1尾
- 濃度3%の食塩水:適量
【作り方】
- カマスは背開きにします。頭の付け根に包丁の刃先を当て尾に向かって包丁の刃を撫でつけるように引きます。背に切り目が入りますのでそこに包丁の刃を入れてバイオリンの弓のように前後に引きながら切り目を深くしていき腹の手前数ミリまで包丁を入れれば後は手で開けます。 ※包丁を持つ手に力を入れ過ぎないこと。力を入れなくてもすっと引けば身が切れるように包丁はできています。むしろ力を入れるのはカマスを押さえている他方の手の方で魚が動かないようしっかり押さえましょう。
- 1.のワタを取り骨抜きで骨を抜きます。血合いは歯ブラシ状のもので優しくこすってから流水で洗い流します。これを流水で洗ってキッチンペーパーで水気をふき取ります。バットなどに3%の食塩水(水300mlなら塩9gを加えたもの)を張ってカマスを15分間浸けます。 ※ブラシは100均ショップのキッチンコーナーやお掃除コーナーで売られています。
- 2.のカマスをキッチンペーパーを敷いたざるに載せてラップをかけずに冷蔵庫に入れ一晩置けばできあがり。魚焼きのグリルなどで焼いて戴きましょう。
【一口メモ】
- 普通にお店で売っているのとそん色ない味に仕上がりました。「なんか難しそう」なんて勝手に思い込んでいましたが肩透かしをくらったような気分です。
- 味の決め手は塩。調味料がシンプルなのでごまかしが利きません。できればちょっと上等な塩を使ってみてくださいな。
- 暇はかかるけど手間はかからない料理の典型です。手を動かすのはカマスを捌くところだけ。あとはほったらかしでできちゃいます。
- 一夜干しは本来塩漬けの魚を夜風に当てながら乾燥させて作るものですが冷蔵庫内は湿度が低いのでラップをかけずに放置すればほぼ同じ状態を作ることができるのです。ざるにキッチンペーパーを敷くのは魚からにじみ出た水分を素早く吸い取るためです。
- 食べてみると僕的には少し塩気がきつく感じました。なので焼く前に少し切り取ってレンチンしたもので味見をするのがおススメです。塩気が強いと感じるようなら完成した一夜干しを1~1.5%程度の食塩水に2時間ほど浸けて塩抜きをしてください。そして次回からは食塩水の濃度を下げてみてください。