美味しんぼという漫画のストーリーをピリッと引き締める役割の一端は間違いなく海原雄山という登場人物が背負っていたと思います。
歯に衣着せぬ物言いで相手を罵倒する様は横暴そのものですが言ってることは理にかなっているので言われた相手は言い返すことも出来ない──読者はその悔しさを共有してフラストレーションを溜めさせられます。
そして最後の最後に主人公がそんな海原雄山に一矢報いることで胸のすく思いを味わえるというのが定番のストーリー構造。
まさに水戸黄門を地で行くようなステロタイプ(典型)っぷりでした。
けど、作品の初期の頃はまだその典型が未完成だったのか筆が滑ったとしか思えない行き過ぎた言動も散見されます。
海原雄山がすき焼きやしゃぶしゃぶをこき下ろした回については業界から強い抗議が行ったとか。
ま、それはそうでしょう。
それで商売をしている人からすれば誹謗中傷以外の何ものでもありませんから。
同じくフランスの名門レストランが日本に進出してきたセレモニーでも名物の鴨料理を戴くのに伝統的な「鴨の血のソース」を下げさせて持参のわさび醤油で食べて見せるのですがリアルなら叩き出されても文句が言えない所業でした。
言うまでもないことですが、旨い、まずい以前の話として大勢の前で店に恥をかかせるような言動は良い大人なら控えて然るべきです。
このパフォーマンスを通じて海原雄山はフランス料理より会席料理のほうが完成度が高い(違った食べ方ができない)と言いたかったみたいですが後日、主人公に会席料理に出された料理も別の食べ方ができるとやり込められます。
その食べ方とは──鰹の刺身にマヨネーズを付けて食べるというもの。
なんでも遠洋漁業に出ている漁師さんたちの間で流行っているんだとか。
カツオのたたきに20%オフの札が付いていたので衝動買い。
どうやって食べようかなと考えている時にこの美味しんぼのエピソードを思い出しましてこんな料理を作ってみました。
【材料】(2人分)
-調理時間:5分-
- 鰹のタタキ:150g
- 黒ごま:少々
[タレパート]
- ポン酢醤油:18g(大匙1)
- マヨネーズ:8g(小匙2)
- 豆板醤:3g(小匙1/2)
- ごま油:4g(小匙1)
- おろしにんにく:少々
【作り方】
- [タレパート]を合わせてよく混ぜておきます。鰹は包丁を寝かせて身に当て薄くそぎ切りにします。
- 鰹を更に盛り付け[タレパート]をたっぷりと振りかけて黒ごまを散らせばできあがり。
【一口メモ】
- 美味しんぼに出てきた「鰹にマヨネーズ」というのはありかなしかというと正直微妙だなと思っていました。けど、ポン酢でさっぱり感を強化して風味の強い調味料を合わせればきちんと美味しい料理になるじゃんと再認識しました。
- おかずとしても美味しいですがやっぱりお酒が欲しくなる一皿ですね。
- お好みで茗荷の千切りをトッピングしてちょいちょいつまみながら食べてみてください。口の中がリセットされてより美味しく食べられますよ。
- この[タレパート]は脂の乗った魚全般に合います。まぐろやぶり、サワラなどでもぜひお試しあれ。